人手不足や生産性の問題を解決するカギはITではなく人間にある

こんにちは。築山です。

深刻化する人手不足、上がらない労働生産性…。沖縄企業と経営者を取り巻く環境は、ますます厳しくなっています。

・賃上げをしたのに人手不足が解消しないのは何故なのか?
・システム(IT)導入したのに一向に生産性が上がらないのは何故なのか?

こうした課題に対するコンサルティングの相談もたくさん頂戴しています。

 

賃上げやIT導入は課題を解決する手段にすぎない

ざっくりいうと、労働生産性というのは「費やした労働量(人数・時間)が生み出した付加価値売上(粗利益)」です。

労働生産性(労働生産売上)= 付加価値売上(粗利益)÷ 従業員数

したがって、労働生産性を上げるには、①分子を上げる、②分母を下げる、しか手はありません。しかも、②は生産年齢人口の減少によって「下げる」を通り越して「下がり過ぎて」います。賃上げやITの導入は、この「下がり過ぎた」②に対する処方箋であって①には全く効きません。

「賃上げをしたのに人手不足が解消しない」のは、お金によって流出を食い止めただけであり、その後に①で賃上をしなかったことで同じ問題が繰り返されたからです。「ITを導入したのに一向に生産性が上がらない」のは、IT自体には①をする力がないからです。つまり、賃上げやIT導入は手段でしかなく、それを使って付加価値売上を上げなければ課題は解決しません。

 

「見える化」しただけで売上とシェアが上がった話

築山が一昨年からお手伝いしている沖縄企業A社様の売上は、市場+3%の伸びとなり県内シェアも拡大しました。いろいろな対策を行いましたが、突き詰めると「データを分析して見える化した」ことです。
ファイル室の帳票類をデータ入力し、PCのフォルダに埋もれていたデータと繋げ、グラフ化したり図式化して構造理解や複数年のトレンドを把握し、現場メンバーと話し合いながら不調原因を知り、売上と利益を上げる分野を突き止め、優先順位をつけて一つずつ実行し、その進捗を見ていく…。コンサルティングのあらゆる段階で「見える化」を徹底し現場メンバーに共有しました。
もちろん、賃上げやITの導入は行なっていません。賃上げは、今後、この成果に対する各自の貢献度に応じて行います。「見える化」していますから(それぞれの持ち場と能力の範囲内で)誰がどれぐらい貢献したのかも、みんなが把握しています。
「付加価値売上を上げる」と言われると「高付加価値商品やサービスの開発」とか「ブランディング」みたいなことを考えがちです。それはそれで正しいのですが、慢性的な人手不足に悩まされ、原料の高騰が続き、十分な資金のない中小企業が簡単に出来ることではありません。
例えば「効果の薄い値引きを止める」とか「粗利率の高い商品やサービスの売上比率を上げる」から始めるなど、既存のリソースだけで売上を上げても付加価値売上は上がります。それをやるための「見える化」なんですね。

 

セルフレジを入れても労働生産性が上がらなかった理由

沖縄企業の約75%が「現在人手不足」「今後人手不足になる」と答えている小売業ではセルフレジの導入が進んでいますが、その後の労働生産性が思うように上がらず、導入コストが重荷になっている店舗も少なくありません。
理由は明らかで、セルフレジの導入目的が人手不足穴埋めのレベルで止まっているからです。本来は、付加価値売上を上げるために必要な仕事を定義して必要な時間や人員を割り出し、そこに充てるためにセルフレジ投入をして接客会計業務が効率化されるすべきです。

業務定義や環境改善をしないままセルフレジを入れても、殆どの場合、それで得た時間や人員は有効には使われません。仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張するものなのです(パーキンソンの法則)
そこまで酷くなくても、残業や業務負荷の軽減される程度の限定的な効果しか得られず、付加価値売上を上げるまでには至りません(もちろん、残業や業務負荷が減るのは重要なことですが)。つまり、マイナスをゼロに戻しただけでプラスには転じ得ていないのです。
ちなみに、築山がお手伝いした企業様では、
業務要件定義と評価項目を明文化した上でセルフレジを導入して労働生産売上が3割増加しました。

 

その人手不足は「人数不足」か?「人材不足」か?

ここまで読んでいただければお分かりかと思いますが、人手不足を解消したり労働生産性を上げるためには人間自体が変わるしかありません。そして、付加価値売上を上げることが出来るのもまた、人間だけでなのです

これらを踏まえた上で、人手不足という状況を見直した場合(個人経営の店舗を除いて)多くの企業様は「人数不足」ではなく「人材不足」だったりします。
そういった企業様に必要なのは、単に頭数を揃えるための人間ではなく、付加価値売上を上げる方法を考えたり、効率的で働きやすい労働環境を作る人間(人材)が必要です。それは、経営者ご自身と、マネジメント職・管理職の人が担う仕事です。

なので、人手不足や労働生産性に課題を感じてらっしゃる経営者の方々は、まず自社のマネジメント業務を行なっている方々を見るべきです。付加価値売上を上げられるレベルになければ教育する必要があります。


経営者ご自身が、部下を教育する時間が十分に確保できない場合は、築山に依頼ください。単発のセミナーや勉強会のような単なる知識の吸収ではなく、学んだことを実践しスキルとして血肉化するために、築山が現場に入り、マネジメント職の方々に御社業務の実践を通じて一定期間学んでいただくスタイルが好評を得ています。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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