セブン-イレブン沖縄出店のインパクト

こんにちは。築山です。

沖縄県は、日本で唯一のセブン-イレブン空白地帯でしたが、遂に(やっと?)出店が決まりました。しかも1号店のオープン日は「7月11日」という心ニクい演出です。
既に沖縄の複数大手企業がフランチャイズ契約を締結しており、計画では5年で250店舗の出店予定だそうです。

数年前から出店が噂されていたものの具体的な動きはなく「内地(本土)へ旅行して最初に行ったのはセブン-イレブンだった」と言うシマンチュの知人もいるくらいです。
現在、沖縄のコンビニはファミリーマートとローソンだけで約530店舗あり「便利だが、今でさえ沖縄はコンビニがありすぎる」という声もあるようです。

 

実は、沖縄にはそれほどコンビニは多くない

下のグラフは、人口1万人あたりのコンビニ店舗数の都道府県ランキングです。沖縄は3.75店舗で45番目。言われているほど多くはない…というか全国レベルで見るとかなり少ないのです。
セブン-イレブンが計画通り出店したとして5年後の人口予測で試算すると5.40店舗。実際には既存チェーン店の統廃合が発生して純増するとは考えにくいですから「沖縄のコンビニ店舗数はセブン-イレブンの出店によって全国平均並みになる」という予測が妥当だと思います。セブン-イレブンの出店計画はこうした予測が反映されたものでしょう。

 

セブン-イレブン出店の影響が大きいのは地元スーパー?

沖縄のファミリーマートとローソンの関係者に話を聞きましたが、セブン-イレブンの出店は脅威と捉えつつも、冷静かつ着々と準備を進めている様子でした。上述のように沖縄のコンビニ店舗数は全国平均から見ればかなり少ないですし、内地(本土)での事例やデータを収集して売上影響も予測できるのだと思います。

同じ切り口で考えると、セブン-イレブン出店の影響が大きいのは地元スーパーではないでしょうか?下のグラフを見れば分かりますが、沖縄で店舗数が飽和状態なのはコンビニではなく総合&食品スーパーで、総合スーパーで全国平均の1.4倍、食品スーパーで1.2倍もあります。ちなみに、沖縄企業の売上高ランキング上位15社の中にはスーパーが4社もあり、その合計売上は全体の4割近くにもなります。

加えて、県民所得が低く共働き世帯の多い沖縄ではコンビニなどが牽引する「中食」の需要が全国平均よりも伸びており生鮮中心の食品スーパーには逆風であること、コンビニより広い商圏を必要とするスーパーにセブン-イレブンのエリアドミナント出店が予想されること等を考えると、やはり影響が大きいのは地元スーパーなのではないでしょうか?

 

本当の脅威は売上減少よりも人手不足

今年の2月、沖縄の完全失業率が復帰以降初めて全国平均(季節調整値)を下回りました。10年前の完全失業率は全国平均の2倍だったことや毎年全国ワーストだったことを考えると、沖縄経済の好調活況ぶりが分かります。

しかし、これは同時に人手不足と人件費の高騰も意味しています。沖縄の人手不足と人件費の高騰は2012年から始まった生産年齢人口の減少を起点にしており、その直後に起こった円安ボーナスによる観光需要(インバウンド)の増加や公共工事の増加など様々な要因が重なって爆速しました。

もちろん経済活動全体で見れば賃金が上がることは良いことなのですが、その増加率とスピードが企業の売上増加率を超えてしまい利益を圧迫し始めています。沖縄を代表する小売企業の減益要因の一つが「人件費の高騰」というのが象徴的です。


 

このタイミングで、セブン-イレブン出店攻勢が始まるのです。同時期にはサンエーが大型商業施設をオープンさせます。顧客の奪い合い以上に働き手の奪い合いが激化しそうです。セブン-イレブン出店による本当の脅威は、売上の減少よりも人手不足なのかもしれません…。

 

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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