ポストコロナ時代の沖縄経済

こんにちは。築山です。

新型コロナウィルス禍が沖縄経済に及ぼす影響について、クライアントから質問を受ける機会が増えました。
観光業への影響については、2ヶ月前にSARS時の影響を元にシミュレートしたものをブログにまとめました。その1ヶ月後に県シンクタンクが発表した予測もほぼ同じでしたが、
それ以降も、情勢は刻々と変化しており、ウィルスの収束時期さえも見えない状況です。

従って、これ以上の経済影響を予測することも難しいですが、ウィルス収束後(ポストコロナ)の経済活動がどう変化するかは、過去のリーマンショックや東日本大震災後の変化や、クライアント企業との対策会議で話されていること、世の中の需要や「気分」の変化などから、いくつかの仮説を導き出すことができます。

 

予測1)経済は「元に戻る」のではなく「小さくなって変容する」

よく、今回のコロナショックは、12年前のリーマンショックと比較されます。リーマンショックは金融危機であり、カネの流れが滞った状態でしたが、今回のコロナショックは、カネ以前の、ヒトとモノの流れが滞った状態ですから、リーマンショックよりも回復までの時間はかかると予想されます。

…というか、日本の経済レベルはリーマンショック後に低下し回復することはありませんでした。

初代iPhoneの発売は、リーマンショック前年の2007年。これを機に加速したITによる生産性向上の波に乗り遅れた(背を向けた)ことで、リーマンショック後の復活は出来なくなりました。
企業は、利益確保のために非正規雇用を増やしたことで労働生産性はさらに低下。給与(実質賃金)も減って消費が冷え込み、売上がさらに減る…という負のスパイラルを繰り返しているうちに世界から取り残されてしまい、自国の通過価値を切り下げて(円安で)観光客を呼び込むくらいしか手立てのない状況になりましたが、コロナショックによって、その道も完全に閉ざされました。

前述のように、コロナショックは、ヒトとモノの動きが長期間に渡って滞ることで、経済基盤そのものが破壊されることから、その影響はリーマンショック以上と考える方が自然であり、日本も沖縄も、新たに稼ぐ手立てを模索するところから始める必要があります。つまり「小さくなって変容する」のです。

 

予測2)観光業の位置づけと提供価値が変わる

ハワイと同規模の客数がありながら、観光収入はその3分の1しかない沖縄には、消費額を上げるためにモノ消費からコト消費へのシフトチェンジが必要でしたが、それに着手することのないまま、コロナショックによる打撃を受けました。

そしてこれは、二重の意味で打撃となりました。一つは、観光客数と観光収入の減少であり、もう一つは、それらを県外からのウィルス移入リスクを負ってまで稼がなければならない…ということです。県知事は、県外への旅行自粛は要請しましたが、県外からの旅行自粛には言及していません。これは、ハワイが経済的損失覚悟でロックダウンを行って州民の安全を優先させたのとは対照的です。

県民意識調査によると、県民は、沖縄の観光業を「稼ぐ手段としては重要なのは分かるけど、それで自分たちが豊かになるとは思わない」とい冷静な評価をしています。今回のコロナショックで起きたことで、県民の中でその位置づけが決定的になった気がします。

ポストコロナの沖縄の観光業は、間違いなく変化すると思います。もしかしたら、それは観光業という名前が適さないほど大きな変化になるでしょう。以下、それについて考察します。

移住者の増加

沖縄は、昔も今も人気の移住地ですが、その数は、社会的にインパクトの大きな事件があると増加します。実際、リーマンショック(2009年)と、東日本大震災(2011年)の年はピンポイントで増えました。失業や離職といった経済的事情だけでなく、価値観の変化なども作用して移住が促進されると推察され、これはコロナショックが収束した場合も同様の状況が発生すると思います。

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