ポストコロナ時代の沖縄経済

リモートワークの定着:食住分離と収入減の不安からの解放

沖縄への移住にあたって最も心配なことの一つは、収入の減少です。ご存知のように、沖縄の県民所得は全国最下位であり、十分な貯蓄や、複数の収入源などがない限り厳しいものがあります。

内閣府と県行政は、観光の滞在日数を増やすことを目的として、補助金を使ってテレワークの実験を行っていましたが、コロナショックによって民間企業を中心にリモートワークのインフラと働き方の変化が一気に加速&定着したことで、職住分離と収入源の不安から解放され、移住者や長期滞在者の心理的ハードルが大きく下がることが期待されます。

 

ポストコロナにおける沖縄の観光業の提供価値

コロナショックによって、国内外の相当数の旅行需要が消失します。そして、経済的影響だけでなく、価値観の変化が起こり、それをリモートワークの定着が職住分離の実現を後押しするでしょう。その時の旅行業に必要とされるが提供価値は、従来の、観光施設の建設やコト消費の開発ではなく「長期滞在と移住の間を実現するもの」「二拠点生活のお手伝い」であると思います。

築山は、以前から「長期滞在のポイントは、理想とするライフスタイルの存在」にあると言っていましたが、これが加速するということです。

 

予測3)「沖縄の普遍性」を取り戻すことが再生の道標になる

現在、経済活動が停滞&停止したことで、大気汚染などが抑制されていますが、収束後の「揺り戻し」によるさらなる環境汚染も懸念されています。

自らの活動を自制し、家族や親しい人への感染を防ぐことが、結果的にパンデミックを回避し、社会や国のためになる、そんな価値観が醸成されつつあります。

このウィルスは、心臓、肺、腎臓に持病を持つ人や、糖尿病、免疫力の低下した人に深刻な症状をもたらすので、健康であることが重要になってくるので、喫煙や飲酒、食生活など、生活習慣を見直す人々も増えてくると思われます。

ウィルスとの闘いが長期化する中、このように人間の活動は物理的、精神的にも抑制と変化を求められ、それがまた新たな価値観やライフスタイルを生み出すでしょう。旅行にしろ、移住にしろ、人々を惹き付ける「沖縄の普遍性」は、これに見事に合致しています。

残念なのは、沖縄は自らの手でそれらを損なってしまっていることです。

・美しい海  ⇒ 埋立や赤土流出
・長寿や健康 ⇒ 高い肥満率とや早逝率
・人の繋がり ⇒ 高い子どもの貧困率
・異国情緒  ⇒ 首里城の焼失

これまで見た、過去の事例や数字から過程すると、ポストコロナの沖縄経済は、観光業でも、IT産業でもなく、この普遍性こそが価値と対価を生む時代になっていくのだと考えています。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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