沖縄がサーキュラーエコノミーを実践すべき3つの理由

沖縄がサーキュラーエコノミーを実践すべき理由

今年で復帰50年を迎える沖縄県は、補助金によるハコモノ建設と公共工事を中心とした「振興策」の結果、埋め立てと人工物によって本島自然海岸の55%を失い、伐採と採掘によって森林面積率は全国37位まで低下(人工林面積率は全国最下位)、ゴミのリサイクル率も全国41位という状況に陥っています。『世界水準のリゾート観光地の形成』というビジョンのもと「環境共生型観光の推進」を掲げていますが、当然ながらその進捗については「遅れている」という評価が並んでいます

今回の講義によって理解を深めたことで、沖縄こそサーキュラーエコノミーを実践すべきという確信に辿り着きました。以下、その理由について3つ述べます。

① 島嶼地域であるが故の課題解決に効く

サーキュラーエコノミーにおける域内調達や、原材料や製品の継続利用は、島嶼地域である沖縄の所得流出や物価高騰リスクの抑制に寄与する可能性を秘めています。ちなみに、現状の沖縄経済は、県外から獲得した所得の倍額が県外に流出する「ザル経済」であり、県民所得は全国最下位にも関わらず那覇市の食料物価指数は東京都23区を超えています

② 労働生産性向上に効く

前述のようにサーキュラーエコノミーの本質は全体設計(=デザイン)にあります。言い換えれば、PaaS(製品のサービス化)やモジュール化によるモデリング/知財ビジネスの側面があります。実際、サーキュラーエコノミー先進国であるオランダには、世界中から訪れる人たちの視察料だけで収益になっている企業や施設が存在します。つまり、サーキュラーエコノミーは極めて高い労働生産性を誇るビジネスであり、スケール追求型の事業展開が難しく、全国最下位レベルの労働生産性である沖縄県が稼ぐ上で採るべき戦略でもあります。

③ 沖縄の歴史的・文化的背景に馴染み、改善効果の大きさが期待できる

「備瀬のフクギ並木道」などに象徴される、琉球王朝時代の亜熱帯の自然と共生してきた価値観や自然信仰は、サーキュラーエコノミーの原型ともいえるものであり、沖縄が率先して実践するのに馴染みやすいものです。また、サーキュラーエコノミーが高品質な観光コンテンツとなり得るのは、オランダインドネシアなど海外での事例が証明しています。

世の中に排出されるゴミの中で最も多いのが生ゴミと建築廃材で、合わせて約半分だそうです。前者が堆肥化(コンポスト)や焼却処理できるのに対し、後者は素材の分離や分解が難しく処理に多大なコストや環境負荷がかかっています。
そして、沖縄最大の産業であり、ここ数年の経済成長額の約4割を占めるリーディング産業は建設業です。サーキュラーエコノミーを実践することによる改善効果の大きさや社会的影響は大きいと予想されます。火災の原因分析も責任追求も曖昧にしたまま寄付金で復元へと猛進する首里城の資材も、他県の樹齢数百年の木を伐採して使うのではなくサーキュラーエコノミーの思想を反映した廃材利用などが出来ればポジティヴなメッセージを発信できたと思うのですが…。

 

サーキュラーエコノミーを実践するポイント

このように、サーキュラーエコノミーが解決すべき課題は、多岐に渡り根深いものです。そうであるがゆえに、様々な企業や個人の繋がりが重要になります。大切なのは「競争」よりも「共創」です。いきなり完璧を目指すのではなく、大きく考えて小さく始め、上っ面で表層的ではなく、◯◯ウォッシュに陥ることなく、本物の成果を積み上げていくことです。

プレゼンテーションも重要です。例えば、オランダのスーパーマーケットが運営する廃棄食材のレストラン『インストック』では、サーキュラーエコノミーの理念に共感した一流レストランのシェフ達がその時々に入手できた食材を使ってアイディアと即興性で料理しています。店内にはさりげなく「レスキューした食材量メーター」が設置されていて、顧客はそうした料理をリーズナブルに食べらるだけでなく、自身の消費活動の社会的度を確認することもできます。こうした活動は、上から目線というか「説教臭く」なりがちですが、デザインとプレゼンテーションの力でさりげなくカッコ良くやることが共感と支持者を増やすポイントです。

また、官民連携と役割分担も重要です。オランダのように、民間企業はビジネスモデル作りと投資、行政はノウハウ共有とマッチング、旧態依然の法や課税制度の改正を行うことで民間企業の活動を間接的に支援します。

必要としている企業を繋げること、ナレッジやノウハウを掛け合わせることで新たな付加価値を生み出すことなど、弊社が取り組むべき事柄や未来も見えました。講義をモデレートする立場でありながら、気分は最前列で聴講している受講者でした。こうした機会をいただき、感謝しています。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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