デザイン経営の事例(コンサルティング事例)
以前コンサルティングした、沖縄ワタベウェディング様の新規事業立ち上げは、その意味で『デザイン経営』だったと思います。
今後の社会や市場の変化を見据えて(コロナ禍以前でした)本業であるリゾートウェディング事業以外で収益の柱となり得る新規事業計画の一つとして、当時新卒3年目だったメンバーと人材採用・育成事業を計画しました。
まず、(僭越ながら)築山がコンサルをお受けする条件として経営陣にお願いしたのが、経営視点で承認されれば実際に新規事業として計画を実行すること、そして、新規事業の重要性を担当メンバーだけでなく社内全体にアナウンスし続けることでした。
マーケティングに明るいわけでもなく、事業計画を作ったこともなかった新卒3年目のメンバーたちとゼロからの出発でしたが、現業を抱えながら週1回の講義を通じて知識を付け、実際に手を動かすことでメキメキと成長し、9ヶ月後にはかなり精緻な市場分析と投資回収計画に基づく事業計画所を作り上げました。
こうしたプロジェクトでカギを握るのは、当事者よりも、例えば、彼等の直属の上司や現場の先輩といった周囲の社員だったりします。現場業務が忙しい中、定期的に離れる部下 / 後輩が行っているプロジェクトに対して懐疑的だったり様子見的な人が出るのは、ある意味で当然のことです。そんな周囲の社員も、経営陣が繰り返し重要性を説いたこと、そして何よりも、プロジェクトを通じて成長した新卒3年目のメンバーの現場での思考や行動が明らかに変化したことによって、次第に彼等へフォローやアドヴァイスを与えるようになっていきました。
沖縄ワタベウェディング様は、沖縄のリゾートウェディング市場を牽引してきたシェアNo.1会社であると同時に、経済産業省や沖縄県から認証を受けている優れた人材育成企業であり、常に沖縄の就職人気企業ランキングの上位を走る会社でもあります。新規事業計画の一つは、それを活かした人材採用・育成事業でした。そして、この事業は現在、沖縄を代表する企業との「コラボ・インターンシップ企画」という形で成果を出しています。
自社が蓄積してきた人材育成のノウハウ(ブランド)を活かした新規事業を生み出し、雇用のミスマッチや高い離職率という沖縄特有の課題を解決に挑戦していること(イノベーション)。この事業を立ち上げるために、経営者、新卒3年目の担当者、そしてミドル層が、会社全体で組織や行動を変える「設計」をしたこと。当時は全く意識していませんでしたが、振り返ってみれば『デザイン経営』そのものでした。
セミナーでは、当時の担当者にも登壇してもらい一緒に振り返ったことで、受講生の『デザイン経営』に対する理解を深めることができました。コンサル事例の詳細を、しかもクライアントと一緒に紹介することは、おそらく今後もないと思うので、貴重であると同時に楽しい講義になりました。
築山 大
琉球経営コンサルティング