沖縄がサーキュラーエコノミーを実践すべき3つの理由

こんにちは。築山です。

沖縄県産業振興公社が主催する「沖縄型グローバル産業人材育成事業」のセミナーで再び講師をしています。今回は、グローバルビジネスの潮流を見据えてキーワードとなる言葉(お題)をいくつか与えられ、それに関して講義を行う形式です。

第2回目の講義は『循環型経済:サーキュラーエコノミー』で、ハーチ株式会社の加藤 佑さんをゲスト講師にお迎えして、循環型経済の定義や考え方、海外企業での実例や自社に活かすための方法論など、受講者のディスカッションも含めて計6時間に渡って行いました。

 

サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミーとは、廃棄をなくすことを目的とし、資源と製品をできる限り使い続けられるよう設計(=デザイン)された経済活動のことです。従来の、資源採取〜生産〜消費という一方通行型であるリニアエコノミーの対極に位置するものであり、廃棄物の再利用ではなく、そもそも廃棄物をなくすことを目的としている点でリユースエコノミーとも異なっています。

出典:A Circular Economy in the Netherlands by 2050

今回のセミナーの背景にある「グローバルビジネスの潮流」という観点では、人口増加と技術革新による地球規模での中間層の出現によって、今後膨大な資源使用と廃棄物が発生し、上述のリニアエコノミーはもちろん、リユースエコノミーによってでさえも、地球環境の保護と、社会的公正を担保しながら繁栄していくことが極めて困難なのは明らかです。サーキュラーエコノミーはそうした課題を解決する手段として注目され、欧州や中国などを中心に実践され始めています。

サーキュラーエコノミーの基本的な考え方は、経済活動と資源使用量との相関、経済活動と負の環境影響との相関を切り離すこと(デカップリング)であり、そのために①廃棄や汚染の分離&排除、②製品と原材料の循環、③自然資本の再生、という3つの原則から成る「バタフライ・ダイアグラム」という下図で説明されます。

出典:Circular Economy Hub

簡単に説明すると、図の左側は自然界で分解・再生することのできる生物資源のサイクル、右側は有限で枯渇性があり自然界では直ぐに分解できない技術資源のサイクルで、そして、これらが適切に切り分けられるよう製品やサービスが最初から設計(=デザイン)されていることが重要です。

次に、左右いずれにせよ、より内側(=円の小さい)サイクルを優先することが重要になります。例えば、右側の技術サイクルにおいて、企業が製品を廃棄〜分解して再生産する(一番外側の円)よりも、修理して使い続ける方(一番内側の円)が、コストも時間も少なくて済みます。この考え方は、高品質化と製品寿命の延長を促進し、修理やアップグレード、所有ではなく利用に応じて課金されるシェアリングサービスなどによって、長期間の利益享受と使用(愛着)によるブランディングに繋がります。

 

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