人手や資金のない沖縄の中小企業こそちゃんとした事業計画書を作らなければいけない理由

こんにちは。築山です。

年度末という時節柄もあってか、5年前に弊社の創業計画書を公開して書いた事業計画書の作り方やマネジメントに関する有料ブログが再び売れ始めています。
商品やサービスがなかなか売れなくて困っている、中小企業で人手も資金も足りない中、色々やらなきゃいけない事が多くて大変だ…と相談にいらっしゃる企業の中には、ちゃんとした事業計画がない企業が多く見受けられます。

ちゃんとした事業計画とは、①市場や競合の趨勢が把握され、②それを踏まえて自社の商品・サービスの顧客価値が明確になっており、③自社の商品・サービスを必要とする顧客層が明確になっており、④その顧客層にアプローチするための具体的な手立てと数値目標が記されています。大切なのは絞り込みと優先順位と腹落ちです。

 

独善的で不十分な事業計画書が量産されている

県産品などの事業計画書でよく見受けられるパターンが、①が不十分な(すっ飛ばされていることもある)ため、②が内向きだったり独善的だったりするので、③が曖昧になり、どれだけ④が緻密でも実現可能性を感じないものになっている(腹落ちしない)事業計画書です。顧客や競合をちゃんと理解しないで、どうやって市場競争に勝って売上を上げていくつもりなのでしょうか?問題なのは、売れないことよりも、売れない理由を客観視できないことです。

しかも、こうした事業計画書が行政や公的機関が行なっている支援事業などで量産されていたりするので事態は深刻です。支援事業をする方もされる方もわかっていない場合があるので、最悪の場合、悪徳コンサル屋に手抜き仕事をされて補助金が無駄に使われます。築山は、クライアントが持ち込んだこうした事業計画書を修正したことが何度もあります

 

事業計画書がないことによる負のサイクル

ちゃんとした事業計画書がないと、ターゲット顧客が曖昧なためにやみくもに営業活動をして、話を聞いてくれる相手と片っ端から商談しますが、相手から「他社の商品と比べての具体的な商品価値を教えてほしい」や「効能の科学的エビデンスはありますか?」と言われて(ちゃんとした事業計画書が無いので)困り果てます。

そうこうしているうちに資金が枯渇し、融資を求めて銀行や投資家へ相談に行くと、そこで言われるのは「具体的な事業計画を見せて欲しい」なのでやはり困り果てます。

ならばと補助金獲得に走ります。ここは意外とちゃんとした事業計画書が無くても採択される(されてしまう)ことがありますが、申請や報告書類に忙殺され、肝心の商品やサービスの営業に時間を割けません。

これらを経営者自身や数人の従業員でやっていると、事業の成果はおろか、最悪の場合、何のために事業をやっているのかさえ分からない状態になり消耗します。築山へ相談にいらっしゃる中小企業の多くはこの負のサイクルに陥った状況です。

大抵は、市場や競合の状況を調査・分析して把握し、それに沿って何度もクライアントを膝を付き合わて自社の顧客価値を言語化することで①と②を明確にすると、③と④がより明確になり(場合によってはスケールアップ/ダウンさせる)、従前の不明瞭な事業計画書が腹落ちするリアリティあるものへと進化します。

 

人手や資金などのリソースが限られている中小企業こそ、ちゃんとした事業計画書を作りましょう。本当に大切なことだけに絞り込みましょう。あらゆる方向に手を出すが故にどれも成果の出ない経営から脱出しましょう。ちゃんとした事業計画書は、そのためのガイドラインでありナビゲーションの役割を果たしてくれます。


 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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