「備瀬のフクギ並木道」に見る琉球人の美意識

こんにちは。築山です。

沖縄へ来た家族、友人や知人に必ずオススメするスポットとして「備瀬のフクギ並木道」があります。沖縄観光の定番「美ら海水族館」から北に1kmほど走った場所で、個人的には水族館をパスしてでも行って欲しいスポットです。

 

琉球の人達にとってのフクギ

フクギは、沖縄をはじめ奄美大島や台湾などの亜熱帯に分布する常緑樹です。「福木」とも言われ、高く真直ぐに伸び、枝や葉の密度が高いことから、昔から防風林・防潮林として植えられていました。それだけではなく、肉厚な葉は燃料に、樹皮は染料として使われ、特に染料は赤味がかった美しい黄色で紅型などにも用いらることで有名ですフクギという植物は、琉球の人々の生活に経済的な恵みをもたらすだけでなく、自分達のアイデンティティを体現する大切な植物だということです

 

自然と共存し長いスパンで物事を見た琉球の美意識

一方で、フクギの成長は遅く、備瀬の木々の中には樹齢300年を超えるものも多いと言われています。つまり、現在あるフクギの植樹は琉球王朝時代に遡ることになり、もちろん、植えた人々は存命中にその恩恵に預かることは出来なかったわけです。
この「備瀬のフクギ並木道」を見て感じることは、先祖から引き継いだ自然や土地を、
今を生きている自分達だけでなく後の世代のために大切にさらに豊かにしていく、という価値観です。このことについて、沖縄陶芸界を代表する重鎮、大嶺實清氏とお話させていただいたとき、氏はそれを「美意識」と表現されました。「美意識とは見た目の美醜を判断することだけでなく、自然の理にかなった生き方も含まれる。昔の沖縄(琉球)の人にはそれがあった」と…

 

この美意識こそが観光資源になる得る…

文化の根幹は、その土地の自然や生活の理にかなったものであり、そこには単なる精神的なものだけでなく、ある意味での経済的合理性も含まれているからこそ、人々から大事にされ永く続いているものだと思います。過度な強制力や惰性で残したものではなく、それを残したいと思う(内部だけでなく外部の)人々によって自発的に残ったもの…であるべきかと。
沖縄が観光業の手本とし、このブログで何度も取り上げているハワイは「アロハスピリット」を観光業のコンセプトに掲げていますし、世界の観光収入ランキング第二位のスペインには料理を通じてその土地のアイデンティティを体現し続けるバスク地方が、第三位のタイには遺跡や宗教行事などを通じて発信するメッセージなど、根幹を成す文化や美意識が観光資源となっているのです。

「備瀬のフクギ並木道」には、それらに匹敵する価値観や美意識が体現されていると思いからこそ、今後も築山はこの場所をオススメし続けます。



 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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