沖縄の本質的価値を具現化する:沖縄コーヒーの話

こんにちは。築山です。

OKINAWA FOOD FLEA』(以下『FOOD FLEA』)主宰である石井 雄一郎さんが立ち上げた新しいプロジェクト『OKINAWA CHEFS CLUB』(以下『CHEFS CLUB』)のお手伝いをしました。

 

OKINAWA CHEFS CLUB 立ち上げの意図

以前、このブログでも紹介したようにFOOD FLEA』は、広告費ゼロにも関わらず、来場者は毎回1万人を超え、消費額も他のイベントの2倍以上となる、名実共に沖縄No.1の飲食イベントですが、新型コロナウィルスによって活動停止を余儀なくされてしまいました。

『FOOD FLEA』が料理人と消費者とを繋げる場であるとすれば、『CHEFS CLUB』は生産者と料理人とを繋げる場です。「大量生産ではなく生産者の想いが詰まった沖縄の素晴らしい食材を見つけ出し、その活かし方を料理人が考えること」(石井さん談)が目的であり、これもまた「沖縄の新しい食文化を創る」という石井さんの理念の具現化です。

 

CHEFS CLUB Vol.1:沖縄コーヒー

第1回目のオンラインイベントのテーマとして選んだのは沖縄で栽培されるコーヒーでした。沖縄コーヒーについて語るとき、プロデューサーの石井さんと決めたのは、雑誌やWEBのコーヒー特集で紹介されるような、趣味性や嗜好品としてのコーヒーという、よくある「話法」を使わないことでした。

実は、日本でカフェブームが起こる前から、沖縄は120年前からずっと「コーヒーの島」でした。

そこには、ブラジルやハワイなど世界へと羽ばたいた沖縄移民の存在があり、戦後の米軍統治下での食生活や文化があり(沖縄ではお茶の代わりにコーヒーを飲む老人たちも多いと聞きます)、コーヒーベルト北限の地として個人や家族で栽培し楽しまれていたコーヒーのDIY文化があります。今回の『CHEFS CLUB』は、親族の住むブラジルから持ち帰られ、沖縄のやんばるの山奥でひっそりと栽培されていたコーヒーとその家族の物語をショートムービーにするところから始まりました。

そして、コーヒーは、栽培〜精選〜焙煎〜抽出というさまざまな工程と人の手を経てやってくる飲み物。歴史のバトン、工程のバトン、時間と物理的距離を超えてバトンが受け継がれる瞬間を、石井さんはショートムービーの中の「ピクニック」で可視化しました(天才かよ!)。

【ショートムービー:予告編】

沖縄コーヒーを通じて考える、沖縄の本質的価値

一般的に、コーヒー生産国の多くは発展途上国であり、先進国の巨大食品企業に買い叩かれた生産者の生活は苦しいままです。商品やサービス供給において、安価であることを競争の原動力にしがちで(その結果として)労働生産性の低い沖縄も、今後コーヒーの生産量が増えたときにそうしたリスクと無縁とは言い切れません。そのためには、質もさることながら、付加価値を高め、それを理解する人たちに届けることが重要です。

オンラインイベントの後半では、上述のショートムービーにも出演した、日本や世界のロースティングコンテストで入賞経験のある沖縄の二人の焙煎士(山田 哲史さん仲村 良行さん)と石井さんによる、他のコーヒー生産国にはない沖縄コーヒーの価値やポテンシャルについてセッションを行いました。

例えば、焙煎の前工程である、栽培(ピッキング)や精選を国内で経験できるので焙煎士がコーヒーについて学べる貴重な場所であることや、海外の豆と違って輸送による時間的ロスや物理的欠損などが少なく新鮮で高品質な豆を生産し得る地産地消のメリットなどがあります。

また、阿里山コーヒーをはじめ、高品質な豆を生産する台湾でのブランディング事例(焙煎士の御二人は当事者としても参画されている)も紹介され、沖縄コーヒーの品質向上やブランディングの具体的方法や、他産業への波及効果などもセッションでは議論されました。

パネリストたちのこうした熱量ある話に加えて、有料イベントにも関わらず予想を上回る人数となった参加者の方々からの核心をついた質問も相まって(有料イベントだからこそ…でもあります)、上述の『CHEFS CLUB』の理念を体現した素晴らしい内容になったと思います。

今後も『CHEFS CLUB』は、今回のように、沖縄の価値や生産者のこだわりが詰まった素晴らしい食材とその活用方法などを、料理人をはじめとした方々と議論し活動していきます。

 

沖縄の付加価値を高めるために

今回の『CHEFS CLUB』をはじめ、泡盛酒造所や、沖縄食材業務用卸で首都圏シェアNo.1の企業様へのコンサルティングなど、最近は、沖縄の付加価値向上を命題とする有難い仕事が増えています。

沖縄は、その固有の自然や文化を背景とした人気の観光地であり、国内観光客の約9割がリピーターであり、4人に1人は訪沖回数が10回を超える「コアな観光客」です。また移住希望地としても常に上位にランキングされています。

こうした地域では「そこに住む人間よりも、その地域に詳しい外部の人間が沢山存在する」という状況が往々にして発生します。コロナ禍の現在、沖縄は自ら従来の一般的なイメージから自由になって、こうした人々の知識や想像を超える感動や付加価値を生み出していく時期に差し掛かっているのだと思います。

そのために必要な視点や方策などを、本気で変わりたいと願う方々にアドヴァイスしていくことが、今後の弊社にとって重要な仕事になると思っています。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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