ブランディングでよくある勘違い

こんにちは。築山です。

沖縄県産業振興公社が主催する「沖縄型グローバル産業人材育成事業」のセミナーで再び講師をしています。今回は、グローバルビジネスの潮流を見据えてキーワードとなる言葉(お題)をいくつか与えられ、それに関して講義を行う形式です。

第3回目の講義は『ブランディング』でした。前々回の『デザイン経営』や、前回の『サーキュラーエコノミー』よりは馴染みのある言葉ですが、最近はこの言葉が勘違いされ、ビジネスや地方創生の現場で「軽く」使われている印象があります。講義では、ブランディングの定義にはじまり、それを実現するための方法やその難しさ、やってはいけないことなどを話しました。

 

ブランディングの定義

ブランディングとは、経済産業省の定義によれば『顧客が企業と持つあらゆる体験に、その価値や意志を反映させ、それが⼀貫したメッセージとして伝わることで、他の企業では代替できないと顧客が思う価値を生み出すこと』です。

勘違い①:マーケティングとの混同

マーケティングとは、『販売を目的とした自社の商品・サービスの提供方法を計画し実行する一連のプロセス』であり、顧客に必要と思って買ってもらうこと(売り方)を追求する点において、顧客に好きになってもらうこと(在り方)を追求するブランディングと違って、より能動的です。つまり、直接的・短期的な売上を上げるために行う活動はマーケティングであって、ブランディングではありませんが、多くの場合において混同されているのが実情です。

勘違い②:売れていないものはブランドではない

ブランディングの成功はブランドとしての認知です。具体的に言うと、ある特定の市場やカテゴリで「◯◯◯といえば?」と問われたとき、顧客から直ぐに想起される銘柄であることです。市場シェアの理論である「クープマン目標値」によれば、市場において存在が認知されるシェアの最低値は10.4%なので、それ以上のシェアがなければブランドになれる可能性はありません。定性的な概念として考えられがちなブランドですが、ある程度の定量的・客観的な裏付けがあります。つまり、独善的な視点や情緒的な価値だけを訴求し、実際に売れてないものはブランドではありません。

勘違い③:それっぽいロゴや、スタイリッシュなWEBサイトを作るだけがブランディングではない

上述のように、ブランディングとは、あらゆる顧客接点において企業の価値や意思(在り方)を反映させ、一貫したメッセージとして伝えることであり、その結果としてある一定の市場シェアを獲得することです。以前のブログでも説明しましたが、そのためにはブランドの理念→付加価値→構成要素という各段階を貫く戦略が、そして何よりも、継続的な仕掛けと時間が必要です。

以前、ある県産品の市場分析を依頼され、様々なデータ分析の結果からレポートに「商品ライフサイクル理論」の「衰退期」という用語を使ったら、単純にその理論を知らず、直接的過ぎる言葉に感じたからだとは思いますが、偉い人に怒られたことがありました(笑)。このように、冷静に現実と向き合うことなく、どこかで聞いたような抽象的で総花的な理念や、独善的な視点や内向きな基準で作られた商品やサービス、それっぽいロゴやスタイリッシュなWEBサイトを作っただけではブランディングを行ったことにはならず、コンサル屋や広告代理店を儲けさせるだけです。

 

慢性的にリソースが不足している局面ではブランディングをやるべきではない

このように、ブランディングで成果を出すにはコストや時間が必要であり、慢性的にリソースが不足している局面では行うべき打ち手ではなく、マーケティングに注力して一定の売上を作りながら、その後のブランド戦略に繋げるべきです。

講義では、弊社クライアントへのコンサルティング事例を紹介しましたが、そのメーカー様は、沖縄で唯一昔ながらの製法を続ける老舗であり、科学的根拠に基づいて某商品を開発したオリジネーターであり、その市場シェアにおいて25%を超えるNo.1企業であり、業界で最も儲かっています。

その企業様と行ったブランディングでさえ、徹底的なデータ分析に基づいてブランド戦略と計画を立案し、お金よりも時間をかけたPDCAを繰り返したもので、それでも県内の有名店や外資系高級リゾートホテルでの取扱いなどが決まっています。ちなみに、ロゴやパッケージの刷新やWEBサイトの再構築は、ある程度の成果と認知が上がった後に行う「最後に行う実行項目」にしています。

*参考文献 『地方創生大全』(木下 斉著)

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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