沖縄経済の観光業依存度と観光業のインバウンド依存度

こんにちは、築山です。

2019年度の沖縄県の観光収入が発表されました。前年より4%、金額にして約300億減の7,047億円でした。ちなみに観光客は、前年より5%、人数にして約54万人の減少でした。減少の原因は第4四半期(2020年1月〜3月)に起こったコロナ危機による観光客数の減少です。

コロナ危機のマイナス影響は、2019年度は第4四半期だけの数パーセントにとどまりましたが、今年はより深刻なマイナス影響が予想されており、観光客は前年61.5%減という予測もあります。

 

沖縄経済の観光業依存度

沖縄県の観光収入が約7,000億円、それによる経済波及効果は約11,700億円です沖縄の県民総生産は約43,000億円ですから、沖縄経済の約3割弱が観光業に依存している計算になります。また、労働者に関しても働く人々の4人に1人は観光関連です。いくら稼いだ金を地元経済に還元できないザル経済とはいえ、それでも観光業への依存度は高いことが分かります。
これを同じ算出方式で北海道と比較した場合、沖縄観光業の経済依存度は北海道の約2.4倍、労働者依存度は約2.9倍にもなります。

上述のように、今後、コロナ危機によって沖縄の観光客は前年60%以上減少しますから、県の経済全体がどれほど大きなマイナス影響を受けるのか想像ができます。

 

沖縄観光業のインバウンド依存度

コロナ危機によってインバウンドは完全に消滅し、その回復は国内客よりもずっと先になるのは確実なので、インバウンド依存が高い地域ほど観光業の回復が遅れます。ちなみに沖縄県の観光客に占める海外客の割合、つまりインバウンド依存度は全国5番目の高さです。

先日、NHKの番組で、インバウンド依存からの脱却を目指す地域や企業のドキュメンタリを観ました。

番組でも触れていましたが、インバウンドに軸足を置いている産業や企業の多くが、現在の売上減に加えて、最近投資を終えたばかりか投資中であるため、コロナ危機によって投資回収が極めて難しい状況に陥っていることです。5月に経営破綻した大阪の旅行会社「WBFホテル&リゾーツ」はその一例です。

円安による「爆買い」を背景にインバウンド増加が始まったのは2012年、中国人観光客の入国ビザ緩和によってさらに拡大したのが2015年、この頃からインバウンドへの投資は本格化しています。そして、宿泊建設や観光施設が完成させ営業を開始した矢先にコロナ危機に見舞われたのです。

実際、沖縄の観光客数とホテル数の伸び率を見てみると、2015年以降に宿泊施設数が急速に伸びており、このパターンに当てはまることがよく分ります。

 

コロナ禍がなくても、沖縄のインバウンドは減少していた

実は、2018年度に沖縄の観光客数が1,000万人の大台を突破した裏で、インバウンドは2%の減少に転じていました。

2019年度もコロナ禍が起こった第4四半期を除いて計算すると前年▲2%、2年連続で減少しており、仮にコロナ危機が起こらなかったとしても沖縄のインバウンドは減少していたと思います。インバウンドに関わる弊社のクライアントでは、去年の時点でインバウンドへの過度の集中を止めていたので、コロナ危機の影響をいくらか抑制することができました。

 

観光客の約3割が海外客で全国5番目というインバウンド依存の高さ、県内・県外企業の観光関連産業への投資や借入で回っていた経済、そして、その観光関連産業が県民総生産の3割弱もある観光業依存度の高い沖縄県にとって、コロナ危機による本当の経済影響は、実はこれからが本番なのです。

コロナ危機について初めて言及した半年前のブログで、①有効な打開策はないので衝撃に備えること、②目先の出来事に必要以上に右往左往せず、感染収束〜事業再開時のスタートダッシュのために観光地ブランディングに必要な戦術を継続的に実施すること、の二つを提言しましたが、それは今も変わりません。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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