「沖縄公庫フォーラム2024」で講演しました(動画あり)

こんにちは。築山です。

先日、内閣府の政策金融機関である沖縄振興開発金融公庫のフォーラムの第一部で講演しました。過去の登壇者は、株式会社星野リゾートホールディングスの星野社長や、株式会社刀の森岡社長、株式会社リウボウホールディングスの糸数社長といった錚々たる面々で、そうした方々と比べるとかなり格下になりますが(笑)「沖縄企業の伴走支援者として現場目線で経営者に役立つ話をして欲しい」という主催者からの依頼を受け、それならお役に立てると思いお話することになりました。頂いたテーマは『稼ぐ力と人材育成』です。

県民所得、労働生産性、人材育成。沖縄のこうしたトピックは抽象的でありがちな「べき論」や「話法」で語られがちですが、数字の裏付けと、実際に世の中で起きている現象と、弊社のコンサルティング事例を30枚ほどのスライドにまとめ、できるだけ論理的&具体的に話しました。

講演内容(約45分)
◯ 沖縄の県民所得と労働生産性
◯ 労働生産性を上げるための人材育成
◯ 弊社の人材育成コンサルティング事例
◯ 質疑応答
*期間限定公開予定

 

人材育成の「勘違い」を改める

中小企業の多くは、人材育成の重要さは理解しつつも、例えば、育成時間や担当者の確保が出来ない、育成プログラムの策定が難しい、従業員の意欲を感じられない、金銭的余裕がない、企業価値向上との繋がりが不透明など、様々な理由から人材育成に踏み切れていないのが実情のようです。

講演のスライドより抜粋


築山がコンサルティングをしている中で、人材育成がうまくいかないケースには共通項があることに気付きました。下記は、リーダーシップを発揮している人に「自分の成長に役立った要素は何でしたか?」と聞いた答えを図にしたものです。これによると、研修や講義、読書といったインプットが10%、上司や先輩社員のアドバイスなどいわゆる薫陶と呼ばれるものが20%、残りの70%は、自らがそれらを使い業務を行なって得た成果や経験となっています。

つまり、知識伝達いわゆる「分かる」の領域は10%、それによって思考や行動が変容するいわゆる「できる」の領域は90%、ということですが、実際の人材育成メニューの多くは、知識伝達の方に比重が置かれ、思考・行動変容の部分がおざなりにされていたり、思考・行動の変容が必要な場面を知識伝達で乗り切らせようとさせたり、人の成長バランスを無視したものが見受けられます。実際「研修を受けた直後は変わるんだけど、1ヶ月くらいすると元に戻ってしまうんだよね」とおっしゃる経営者に、築山は何人もお会いしてきました。このあたりは、過去のブログでも述べてきた通りです。

講義のスライドより抜粋


この理屈を踏まえた、弊社が考える人材育成のポイントは次の3つです。まず、知識伝達で終わらせるのではなく、思考と行動を変容させる育成プログラムまでを作ること、わかるだけでなくできるを重視することです。期間は少なくとも半年から一年は必要になるでしょう。次に、思考と行動の変容は、実際の業務の中で成果や経験を得ることで実現しますから、人材育成プログラムは、実際の事業や業務と紐付け、定量的・定性的な成果を要件とすることです。また、これによって客観的な指標に基づく公正な評価も可能になります。最後
は、上司や先輩社員のアドバイスによって成長や経験を得るためには、経営者も含めて組織全体で行う必要がある。つまり、人材育成は人事担当者やアウトソーシングだけに任せるのではなく、組織文化にしなければならない、ということです。

講義のスライドより抜粋


以上を踏まえて、もう一度、先程の人材育成における課題を整理してみましょう。実際の業務の中で育成すれば、育成時間の確保やプログラム策定の課題は解決します。組織全体で育てるので、特定担当者を確保する必要ありません。また、成果を要件とするので、金銭的余裕や企業価値向上との繋がりの心配はある程度解消されるでしょう。新聞記事の内容の裏を返せば、適切な人材育成と成長機会の提供さえ行えば、従業員の意欲向上や離職抑制の可能性は上がります。さすがに、人材育成の優先順位が低いという人はこのブログの読者にはいらっしゃらないと思うので、上述の3つを押さえれば、限られたリソースでも人材育成を行うことは十分可能です。

講演では、これらのポイントを実践した弊社の実際のコンサルティング事例を話しました。従業員が成長するから成果が出るのではなく、事業や業務で具体的な成果を出すことで従業員が成長するのです。

講演のスライドより抜粋 

 

ブレない軸があるからこそ変化に対応できる

第二部は「変化を受け入れ事業に活かす経営戦略」というテーマで、沖縄企業の経営者の御三方と座談会を行いました。激変する経営環境の中で、三企業のさまざまな取り組みが話されましたが、それぞれの企業の企業理念や行動規範、人材育成に関する考え方などに基づいて実践されています。逆説的ですが、こうしたブレない軸があるからこそ変化に対応できるのだということを改めて学びました。こちらもとても面白いので、是非ご覧ください。

 

築山  大
琉球経営コンサルティング

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