沖縄の観光収入をさらに飛躍させるポイント

こんにちは。築山です。

昨日の新聞記事で、沖縄県の観光収入の2017年度目標が掲載されていました。それによると、前年+13.6%を目指すそうです。ざっくり言うと「観光収入+13% = 観光客数+8% × 1人当たり消費金額+5%」という計算ですね。観光業は県の基幹産業ですから、ココを稼ぐということは沖縄の発展のためにとても重要です。

観光収入を因数分解する

観光収入の売上公式を因数分解してみると以下のようになります。

観光収入 = 観光客数 × 1人あたり消費金額
⇒ 1人あたり消費金額 = 滞在日数 × 1日あたり消費金額

以前、沖縄とハワイの観光収入を比較したと記事で、観光客数は同規模なのに収入で約3倍の開きがあると述べましたが、この公式に当てはめてみると他の項目はほぼ同じで「滞在日数」の差がそのまま観光収入の差に表れていることが分かりました

 

観光客数は、ずっと増加傾向であることや、自分たちではコントロール出来ない要因によって増減しますから、さらにブーストさせるには難易度が高い。1日あたり消費金額も、世界的な観光地であるハワイと大差がない…。ギャップが最も大きい滞在日数は、逆を言えば「それだけ上げられる余地がある」ということです。

 滞在日数を伸ばすために

日本人の滞在日数を伸ばすのは難しい(残念ながら「世界で最も休まない国の一つ」ですから)。インバウンド需要のキーワードであるアジア系観光客の「爆買い」ですが、買い物だけで滞在日数を2倍にするのも現実的には難しいですよね。なので、滞在日数を伸ばすには「どの国の人から来てもらうか?」という部分に注目すべきです。

これによると、世界の国々の旅行者で一人あたりの使用金額が高い上位10ヶ国は、オーストラリアを筆頭に欧州地域とアメリカです(左図)。でも、沖縄にやってくる観光客の95%は、このランキングの10位以下の国々の人なんですね(右図)。
冒頭に述べたように、一人あたりの使用金額に強く作用する要素は滞在日数ですが、世界9位のアメリカ人観光客の滞在日数は、やはり沖縄での滞在日数も平均の約2倍も長いんです(この日数でも、他国のリゾート地と比べればまだ短いんですが…)。
勿論、沖縄の地理を考えれば、アジア圏からの観光客の比率は高くなるのは当然ですが、『滞在日数を長くするには、沖縄に来てもらう人の地域を欧州地域や米国にシフトする』というアクションをする必要があります。単純に、アジア圏の観光客を誘致して得られる経済効果を、アメリカ人やヨーロッパならその半分来てもらえば達成出来るわけですから。

彼等は何を求めて沖縄へ来るのか?

アジア圏以外の観光客の沖縄での動向を掴める資料は少ないのですが、唯一手元にあるアメリカ人観光客の動向データを、アジア圏の観光客と比較してみるとこのようになります。

この分析を見れば明らかです。アジア圏の観光客とは違って、遠い場所から何十万円もかけ、何時間も飛行機に乗って沖縄に来てくれるのですから、彼等が求めるものは「そこに行かなければ得られないもの = 沖縄固有の自然・歴史・文化」です。モノではなく、コトや体験ですね。そういったものを味わうためには時間が必要なので、滞在日数は当然長くなります。これは、沖縄に限らず、世界各国へ旅行するときの彼等の傾向とも言えます。そして、よく議論される『富裕層の誘致』議論は、これを限界まで突き詰めたものに過ぎません。

…で、どうするのか?

「一人あたり消費金額を上げる(滞在日数を上げる)」というのは客単価を上げることであり、客数を上げるのとは全く違う考え方をする必要があります。つまり、マーケティング力が必要です。マーケティングとは「自らを知ること」と「相手を知ること」の掛け算です。今後の沖縄観光の『上客』とは「金持ちという意味ではなく、本当に沖縄の文化や自然に興味を持って、それを体験しにわざわざ遠くから来てくれる人」です。
例えば、彼等は、沖縄料理(琉球料理)一つを取っても、単に料理を提供するだけでなく料理の作り方とその歴史、素材となる野菜やその栽培方法、など多岐に渡る部分に興味を持っています。ハワイに旅行した時に、オーガニックのレジャー・ファームに行きましたが、そういった体験と知識を得るために、不便な場所にもかかわらず世界中から人が集まっていました。さらに素晴らしいのは、それによって観光収入だけでなく、農業のブランド力向上にも繋げていることです。ちなみに、ハワイの第1次産業の一人あたりGDPは沖縄の1.5倍もあります。

考えれば、いろいろアイディアは出てきますが、築山自身もクライアントと話しながら、具体的に考えてお手伝いしたいと思います。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

コンサルティングのご相談、お問い合わせは…

ご相談、お問い合わせ