「事業は人なり」の危機 ー 人材育成はカネか?ヒトか?ー

こんにちは。築山です。

新しいコンサルティング・サービスの企画を考えるために、お役所のいろいろなデータを調べていたんですが、なんとな〜く感じていた嫌な予感が、明確な数字で事実として浮かび上がってきてびっくりしています。う〜ん…。

給与が減っている一方で、企業の内部留保は増え続けている…

厚生労働省と財務省のデータを掛け合わせてみると、約20年間で企業の内部留保は2.6倍に増えている一方で、労働費用は2割弱減っています。内部留保とは「企業利益の蓄え」であり、この数字をざっくり解釈すれば「企業活動によって生み出された価値が、従業員ではなく企業に還元されている状態」ということになります。
労働費用は、現金給与と現金給与以外の費用の合計で、現金給与以外の費用には、厚生年金や健康保険などの法定福利や教育訓練費などが含まれます。特に目を引いたのは、教育訓練費が3割以上も削減されていることです。教育訓練費は、従業員が能力を向上させ、将来により高い価値を生み出すための投資的側面を持つ費用です

今や、教育訓練費ではビジネス書一冊さえも買えない…

この教育訓練費は、さらに企業の従業員規模によって大きく差があります。直近のデータによれば、教育訓練費の全国平均は月額1,080円。大企業のそれでさえ1,519円、日本企業の約7割を占める社員数100人以下の中小企業にいたっては424円です。今の教育訓練費では、多くの人がビジネス書一冊さえも買えないことが分かります。

先行きの不安から投資が萎縮。「事業は人なり」の危機…

「めまぐるしく変化するビジネスや世界で、個人に求められるスキルや望むキャリアは多様化している、スキルUPをしたい意志を持つ個人にだけ費用は使うべし!」という経営者の声も聞こえてきそうです。一方で「会社が利益を溜め込んで、給与を下げられて、教育訓練費も下げられて、どうやって自分でスキルUPしろと。労働生産性を上げる以前の話だわ…」という従業員の嘆きも理解できます。さらに追いうちをかけるように人手不足が深刻化しています。
人材育成はヒトなのか?カネなのか?。
余裕が無くなった原因を探るために、人材育成で感じている問題点を、企業、従業員それぞれからの回答で分かったことがありました。
企業側の感じている問題点は「効果が不明」(育成してもすぐに辞める、名乗り出てくる人が居ない)、次いで「環境が無い」(指導人材が不足している、適切な訓練機関が無い)、「時間が無い」(育成に充てる業務状況では無い)という順番でした。
従業員側の感じている問題点は「時間が無い」(業務や家事が忙しい)、「環境が無い」(訓練機関が無い、会社が時間をくれない)、「方法が不明」(適正や必要なスキルが分からない)という順番です。…あれ?「お金が無い」というのは企業、従業員共に上記ほど問題要因ではありませんでしたね。しかも「環境が無い、時間が無い」という部分は共通しており、実は両者が感じている問題点の根本は共通しているようです。先行きの不安から、お互が萎縮し疑心暗鬼になっている。松下幸之助氏の言葉「事業は人なり」の言葉が危機に瀕している…そんな印象さえ受けます。

そして、気付けば後継者が居なかった…

経営者、従業員の両者が疑心暗鬼になったまま人材育成を滞らせていると、別の深刻な問題が浮上してきます。「事業後継者の不在」という問題です。今や日本企業の3分の2は後継者不在の状態で、このままいくと近い将来に解散・廃業する企業が増えることは間違いありません。沖縄県に至っては、なんと8割以上の企業の後継者が居ません…。
事業後継者の育成は、人材育成の中でも最も重要、且つ、時間のかかる仕事です。後継者の決まっていない(育っていないと思う)企業や経営者は、今からでもすぐに動き出さなければならないと思います。

 

人材を育成するには「時間の捻出」と「環境整備」から…

これまで見てきたように、人材育成に関して感じて問題とその根本は、企業も従業員も同じで「どうやって時間を捻出するか?」と「(人員体制も含み)環境整備」がポイントになることは明らかです。弊社では、これまでのコンサルティング経験と成功事例のノウハウがあります。
沖縄企業の某社長がおっしゃってくださった『従業員に本を読ませたりセミナー受講をさせて2~3日は見違えるように変わるけど、1ヶ月も経たないうちに元に戻ってしまう…と悩んでいる社長にオススメ』という弊社の人材育成コンサルティングにご興味がある
方はお気軽にお問い合わせください。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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