かつて日本一の長寿県だった沖縄

こんにちは。築山です。

新聞にこんな新聞記事を見つけました。

子供の頃「沖縄は日本一の長寿県」という話を聞いた頃からは想像もつかないニュースだったので、気になっていろいろと調べてみました。

肥満率は平均寿命と関係がある

直近の都道府県別の肥満率(男性)を調べてみましたが、沖縄県は宮崎県を僅かに上回って全国一位でした。この二県は三位の栃木県を約5%も上回ってのぶっちぎりワンツー・フィニッシュで、県民男性のほぼ二人に一人は肥満という凄まじい状態です。そして、肥満率と平均寿命との間には緩やかな相関がみられました。現代社会は、死因に肥満が原因による疾患も多いですから、これには納得です。

かつて沖縄は日本一の長寿県だったが…

沖縄が日本一の長寿県だったのはいつ頃だったのか?1975年から2015年の平均寿命の全国比とその全国順位を調べてみると1985年だったことが分かりました。しかし、1995年以降、男性の平均寿命は全国平均を下回り、順位も坂を転がり落ちるように急降下しています

若い世代の死亡率が異様に高い…という衝撃

平均寿命が全国よりも下がり始めているということは、若くして亡くなる人が増えているのではないか?そこで世代別の死亡率を調べてみたのですが……衝撃を受けました。
男性の30〜50代の死亡率は全国の約1.3倍、女性も20〜40代の死亡率は約1.2倍です。平均余命を見ると男性40歳以下は全国平均並みに生きられない、という状態。若い世代の高い死亡率が平均寿命を下げているのは明らかです。

何が原因なのか?

沖縄の世代別の死因を全国と比べてみると、その原因がはっきり分かります。男性は「肝疾患(肝不全)」と「自殺」、女性は「肝疾患(肝不全)」と「糖尿病」が全国平均と比べて圧倒的に高いのです。かつて長寿日本一だった沖縄は、肥満とアルコールと自殺によって転落しました

沖縄に引っ越してきた当時に驚いたことの一つは、節度ある飲酒や食生活、適度な運動を呼びかけるテレビやラジオ、広告などがものすごく頻繁に流れていたことですが、こういった背景があったんですね。何よりも、若い世代の生活習慣病や死亡率が高いことは、個人や家族の精神的・経済的負担を増やし、経済成長を鈍化させるだけでなく、医療費負担の増加により自主財源が三割しかない県の財政をさらに圧迫します。若い世代の健康状態を良化させることは経済的にも本当に重要なんですね。(「長寿日本一の復活」はその先にある結果の一つでしかないので正直どうでもいいです)

©RBCおきなわ健康長寿プロジェクト

©沖縄県 保健医療部健康長寿課

 

健康問題と飲酒運転事故率を抜本的に解決する一番の方法

アルコールといえば、沖縄県は交通事故に占める飲酒運転の割合が全国ワーストという記録も27年間更新し続けています。


よく「沖縄は車社会だから…」「沖縄は車がないと生活できないからから…」と言われますが、実は乗用車普及率は全国で27番目で沖縄より車社会の地域はたくさんあるので、これが主な理由にはなり得ません。
一番の理由は、復帰後から現在まで沖縄県に適用され続けている酒税の軽減措置(ビールは20%、泡盛は35%)だと思います。県内の酒造メーカーや、観光産業の一つである飲食業を保護する目的で半世紀近く延長され続けています。

これまで述べてきたように、県民の健康問題悪化や飲酒運転事故による経済的損失の深刻さを考えると、廃止することによるメリットはデメリットをはるかに上回るのではないでしょうか?人の健康や命を犠牲にしてまで一部の雇用や利益を保護することは経済的合理性にも反します。本気で問題を解決したいのであれば、ここに手を付けることがが最も効果的ではないでしょうか?

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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