電線の法則:問題の本質を解決する

こんにちは。築山です。

自宅を出てすぐのところに信号機と街路樹があります。この信号機、街路樹の枝葉が伸びてくると、上の写真のように覆い隠されて見えなくなってしまいます(コレ、斜め横から撮影してますが、正面から、つまり車の運転席ビューでは完全に見えません)。沖縄に住んで3年目。毎日通る場所なので観察していると、こんな感じでサイクルしています。

伸び始める

だんだん見えなくなる

そろそろヤバイ…

あぁ、ほんとんど見えない!

まる禿げにされる

この写真は夏場に撮ったので枝葉が残されていますが、冬場はまる禿げになります…。

高温多湿の亜熱帯気候に属する沖縄は、このサイクルが異常に早いので、伐採の頻度もそれに合わせて行われています。それも3年間ずっと…。ここまで読むと、当然のように「素朴な疑問」というヤツが湧き上がりますよね。『街路樹を無くすか、ズラせば済む話じゃね?』と…。

対処療法の繰り返しによる犠牲

信号機が見えないことによる事故発生のリスク、枝葉伐採の度に人を雇うコスト、これが年に何回も繰り返し発生しています。一度、街路樹を無くすかズラせばこの問題は永遠に解決します。最初にコストはかかりますが、伐採頻度の高さを考えれば投資回収も大してかからないと予想されます。
同じような問題で電線の地中化があります。観光地としての景観云々という話もありますが、そもそも「台風銀座」と言われる沖縄では停電の頻度も高く県民生活や経済へのマイナス影響を考えると急いで進める必要があります。(ちなみに、米軍基地の住宅は、70年前の建設時から地中化していたそうです)
信号機と街路樹の問題は、単に気付いてないだけかと思ったので役所にも伝えたのですが、手をつける気配は一向にありません。そうなると答えは一つ「分かっていて放置している」です。もしくは「取り組む優先順位が低い」。
いろいろ「事情」はあるのでしょうし、あまりネガティヴはことは言いたくないのですが、県民の安全性や生活を犠牲にしてまで街路樹の伐採や、切れた電線の修理という仕事や雇用を生み出す必要があるのか?まさに「仕事のために仕事をしない」という状態。あまりにもサンクコストが大きい。低い労働生産性の温床はここにあります。百歩譲って、有効求人倍率が0.3だった5年前ならまだしも、1.0倍を超えて急速に人手不足が加速している今となってはそれを続けていると取り返しのつかないことになります。

問題の本質を解決する

…と言っている我々も、日々の経営や仕事の中で同じようなことを見逃しているかもしれません。「天下国家を語る前に、まずは自分と周囲から」の精神で考えていきましょう。築山もコンサルの現場で、常にこの問題と向き合っています。

1. そもそも問題が見えていない場合

人の問題は見えやすいんですが、自分たちのこととなると見え難い。これを解決するためには自分たちの中に「素朴な疑問」と「健全な猜疑心」を持ち続ける訓練が必要です。言い換えると「そもそも論」で物事を考えること。


築山の経験上、効率良く仕事をしている人を褒めると、かなりの頻度で返ってくる言葉が「いやいや。単なる面倒くさがりなだけですよ」という言葉。「手間をかけずに成果を出す方法はないか?」「同じ成果をもう少し早く出せる方法はないか?」みたいなことを常に考えている『健全な面倒くさがり屋』な人たちです。

2. 問題は見えているが解決方法が分からない場合

次が、このパターンです。この場合には、一気に解決しようとするのではなく、問題を因数分解して論理的に考えるのが有効です。カメラのピントを少しずつ合わせていく感覚ですね。それが分かれば、問題の本質は自ずと見えてきますし、一番重要な部分から改善していけば必ず効果は出ます。

 

3. 問題も解決方法も見えているが、やらない

残念ながら、案外多いパターンがコレです。「周囲が聞き入れてくれない」「以前に改善を試みたけど上手くいかなかった」のような過去のトラウマ系から、「自分の居るうちには大した問題にならないだろう」「どうせ、異動があるからやっても無駄」のような『逃げ切りのメンタリティ』に支配されている場合まで。こういった場合は、サンクコストを数値化して見せたり、それをやらないことによって被害を被る顧客や、会社の仲間たちの様子を具体的に示すようにします。個人批判や責任追及をすることが目的ではなく、やらないことの結果をイメージ出来ない(=他人事である)ことに原因があるからです。そして、改善が始まったら定期的にその結果を共有すると、不思議と環境や雰囲気は変わっていくものです。

 

経営や企業も、人の身体と同じです。単に病気を治すだけでなく、健康で楽しい生活を送り続けることが本来の目標のはず。急を要する場合には対処療法も必要ですが、そもそも、そうならないように原因療法や、毎日の動きに注意を払い、必要に応じて変えることが重要になってきます。下記のように意識的にやっていきましょう。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

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