こんにちは。築山です。
鳴り物入りの開業から約半年「サンエー浦添西海岸パルコシティ」は築山の予想通り不振店になっていました。米軍から返還された土地を開発した県内2番目の大型商業施設です。ちなみに1番大きな商業施設である「イオンモール沖縄ライカム」も米軍から返還された土地の開発です。
上記記事に書かれている不振原因は全て間違っています。増税は開業前から分かっていたことですし、心配された渋滞もそれほどではありませんでした(週に何度もココを走っているので分かります)。激減した韓国人観光客は訪沖外国人観光客の2割弱に過ぎませんし、もともと彼等は自国の品揃えよりショボい沖縄のショッピングセンターで買物をしてません。もっと言えば、外国人観光客の消費額に占めるショッピングの割合は4年前から減り続けています。
不振の原因は過剰出店(オーバーストア)
不振原因はただ一つ。オーバーストアです。このブログでも折に触れて書いているように、総合スーパー(GMS)の人口あたり店舗数は、なんと全国平均の1.4倍もあります。食品スーパーも全国平均の1.2倍あります。店舗が多過ぎるんですね。
それを裏付ける衝撃の事実として「サンエー浦添西海岸パルコシティ」は、そこから3.8km、車で7分の距離に「サンエー宜野湾コンベンションシティ」という既存の大型商業施設があるにも関わらず開業しています。当然のことながら、両店はカニバリズムを起こしました。
そして、こんな状況にも関わらず来年の春にダメ押しの一手が打たれます。
自然環境を食いつぶして当座の食い扶持を確保
沖縄の経済成長を牽引しているのは、こうした過剰出店の商業施設や、増加する観光市場を背景にしたホテル建設、全国で25番目の人口に過ぎない島に流れ込む全国1位の国庫支出金(沖縄振興予算)を当て込んだ公共事業などの土木建築ですが、その稼ぎの半分は本土の企業が持っていき、沖縄県民の所得は全国最低のままです。
しかも、こうした土木建築のために、沖縄は観光資源でもある大切な自然環境を提供して食いつぶしています。県と市は、この「サンエー浦添西海岸パルコシティ」の建設に留まらず、さらに190ha近く珊瑚礁の海を埋め立てて、米軍の軍港とクルーズ船を停泊させる港、ホテルやオフィスビルなどの建設計画を進めています(現時点で下図の「第1ステージ」部分の埋立が終了しているのみです)。
現状や数字を見て普通に考えれば、上手くいかないことは誰でも分かることなのに、止めようとしない。それどころか、せっかく自分たちの手に戻った美しい自然環境を破壊し、なけなしの金を手に入れるも貧しいまま…。ここに沖縄の経済成長の限界があります。「貧すれば鈍する」という言葉が今の沖縄にはぴったりです。
SDGsの本質は言葉でなく目標設定と具体的な行動
そんな沖縄県が、SDGs(持続可能な開発目標)を掲げて毎月何らかの会議を行っているのは皮肉な話です。しかも「横文字が分かりにくいから」という理由で頭文字をもじった駄洒落を言ってみたり、ゆるキャラを作ってみたり、SDGsという言葉だけを消費をしている感が否めません。詳細は下記二つのリンク先を読んでみてください。
SDGsの重要性は言葉ではなく、明確な目標を決めて、それを達成するために具体的な行動をすることに意味があります。
例えば、ハワイ州では、彼等が昔から大切にしてきた「アロハスピリット」に則り、サンゴに有害な化学物質の入った日焼け止めを州法で禁止したり、海洋環境を守る啓蒙ビデオを制作して全てのハワイ便の機内で流すなど、自分たちに経済的な不利益や不都合が発生したとしても自然環境を守るための具体的な行動を行い、それが観光客から支持を得て観光収入を増やし続けています。
かつての沖縄(琉球)にも、前の世代から受け継いだ自然の恵みに感謝しつつ、次の世代へ引き継ぐという先祖崇拝と自然崇拝との二つの柱がありました。こんな今だからこそ、弊社はこの教えを大切に具体的な行動をしていこうと思います。
築山 大
琉球経営コンサルティング