ポストコロナ時代の沖縄観光業

こんにちは。築山です。

ご存知のように、新型コロナウィルスは沖縄の観光業に壊滅的な影響を与えています。沖縄の観光客数は、WHOが国際緊急事態宣言をした1月に、まず海外客の減少が始まりました。乗客の感染が確認されたクルーズ船が横浜港に入港した2月にはさらに減少し、国内感染者が増えて小中学校の休校が始まった3月からは国内客も減少。両者はその後も減少を続け、4月の観光客数は前年▲90%、海外客はゼロになりました。マスメディアなどで何度も流された、シャッター通りと化した国際通りを目にした方々も多いと思います。
この状況は海外でも同様です。沖縄が「お手本」としているハワイ州は、沖縄より約1ヶ月早くロックダウンを開始し現在も継続させていますが、日本のGWにあたる5月上旬の観光収入は前年▲96%でほぼ消滅。ホテル組合員の約8割は失業中とのことです。

 

県が打ち出した沖縄観光業の振興策

沖縄の観光業の回復は、県内客〜国内客〜海外客の順番であるのは間違いありません。県も補助金を出して、まずは県民による県内観光を促進させようとしていますが、そもそも、全国最低所得である沖縄県の家計支出に占める旅行費の割合は全国平均の7割程度、金額にすると4割程度しかありません。その結果、沖縄の観光収入に占める県内客の割合は1割程度しかなく、それに加えて補助金の適用も県内観光協会の販売商品に限られているため、沖縄観光業復活の起爆剤としての効果は疑わしく、同じ税金(5億円)を使うなら、他の施策に回した方が良いのではないか?とさえ思います。

 

ただ口を開けて待っているのではなく、ポストコロナ時代の旅行ニーズを考えて今から動く

このブログで何度も述べてきたように、コロナ禍以前の沖縄観光業の拡大は、沖縄の魅力や観光戦略ではなく、円安という為替レートのボーナスによって、何となく「安価で気軽なリゾート地」というポジショニングに収まり、国内客と海外客が急増したことに因るものでした。

その結果、観光客数こそハワイと同規模でありながら観光収入は3分の1しかないという「質より量」の観光業となり、後手後手の対策によってオーバーツーリズムを引き起こし、その稼ぎが県民経済に還元されない産業になってしまいました。

また、コロナ禍以前の沖縄は、観光収入におけるインバウンド比率が日本の他地域の約2倍もあったため、その復活や振興にはさらに時間がかかることが容易に想像できます。

新型コロナウィルスの影響は、自分たちの力だけではどうしようもない阻害要因です。だからといって、ただ口を開けて、補助金を使った振興策などを待っているだけではなく、ポストコロナ時代の観光ニーズを考えて戦略的な観光事業計画を立て、コロナ禍以前の稼げない観光業から脱却する。そして、今から動くことが結果的に沖縄観光業の早期振興に繋がると考えます。

以下、ポストコロナ時代の旅行ニーズについて、3つのヒントを列挙します。

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