こんにちは。築山です。
人手不足に関する、中小企業や経営者からの相談がさらに増えてきました。6年前に起業したときの市場分析で確信したのは、「これからの人手不足は、景気の波などの一過性のものではなく、生産年齢人口の減少による構造的要因なものになり無くなるどころかどんどん深刻になる。(当時の)沖縄は人口増加局面で現実感を持ち難いが故に、中小企業の人手不足問題は深刻となる」というもので、実はこのブログの初投稿のテーマとしてシェアしていました。
人手不足の解決手段として、①仕事を減らす(IT化・外部委託)、②人を増やす(採用)、③人の力をつける(育成)などがあり、それらを実行するにあたってアウトソーシングやコンサルティングを依頼するわけですが、相談の多くは「思ったほど成果が出ていない」というものです。
アウトソーシングとコンサルティングとでは、問題解決のアプローチとしては全く異なるため、個別の状況や達成したい目標によってどちらを採るべきかを、契約前に見極める必要があります。両者の違いについて明確にしておきましょう。
アウトソーシングとコンサルティングの違い
アウトソーシングは業務委託、コンサルティングは問題解決
アウトソーシングとは、外部(Out)調達(Sourcing)という言葉からも分かるように、自社の特定業務を外部の会社に委託することです。コンサルティングとは、専門家による助言・指導という意味であり、それらを得て問題解決することです。
アウトソーシングの主体者は受注会社、コンサルティングの主体者は発注会社
アウトソーシングの主体者は受注会社であり、発注会社と取り決めた業務の代行と完遂が提供サービスとなります。一方、コンサルティングの主体者は発注会社で、受注会社の専門的な知識や助言による伴走支援を受けながら問題解決を目指します。
アウトソーシングは経費、コンサルティングは投資
つまり、同じ問題解決でも、代わりに解決してもらうのであればアウトソーシングを選び、自ら解決する力を身に付けたいのあればコンサルティングを選ぶことになります。また、受注会社による提供サービスの品質、関与の頻度や深さから、報酬額は、前者よりも後者の方が高くなっているのが一般的です。その意味で、前者の報酬の意味合いは経費であり、後者の報酬の意味合いは投資になります。
人手不足の解決:中小企業ならアウトソーシングよりコンサルティングの方がお得?
中小企業白書・小規模企業白書によると、中小企業が重要と考える経営課題は「人材育成・採用」(82.7%)と、「営業・販路開拓」(59.7%)の二つが突出して高く、人材不足(専門的な知識や技能を持った人材がいない)状況であることが分かります。また、コロナ禍後は、賃金上昇や原料高騰への対応策として業務効率の改善と収益力強化への意識も高まっています。
こうした問題解決の手段としてアウトソーシングを活用する中小企業は多いのですが、『受託企業との事務連絡や手続きが増加し、かえって業務が混乱した』『アウトソーシング対象の業務に関わる従業員の反発が出てうまく進まなかった』『そうした状況で更新を繰り返し、結果的に経費がかさんでしまった』といった経営者の経験談も同じくらい多く聞きます。
導入経緯などを詳しく聞いてみると、属人化・ブラックボックス化した業務を十分に見直さないままだったり、外部委託後の業務プロセスの全体的な変化や目標が曖昧なままアウトソーシングしてしまったり、自社の課題理解が不十分なまま「丸投げ」してしまったことに原因があります。
属人化・ブラックボックス化した業務の棚卸しや、業務プロセスの見直しや設計が自社だけで難しいときは、コンサルティングの領域となります。そして、それらが明確になれば、アウトソーシングせずとも自社の従業員だけで業務を回すことが可能な場合も意外と多かったりします。特に、人材育成は、知識や技術の伝達(=分かる)だけでなく、それらを使って業務を行うことで思考や行動の変容(=できる)があって初めて成り立つので、アウトソーシングによる経費の積み上げよりも、コンサルティングによる投資の方が結果的に費用対効果が高く、生産性の向上にも寄与します。
このように、自社の問題状況によって、アウトソーシング、コンサルティングを上手く使い分けるのがベストでしょう。ご興味があれば、お気軽にご相談ください。
築山 大
琉球経営コンサルティング