こんにちは。築山です。
猛威を振るっている新型コロナウィルスですが、航空機、クルーズ船の運休や減便などで、沖縄の観光業への影響も出始めています。
未だ収束の兆しは見えず、影響がどこまで拡大するのか分かりませんが、新型コロナウィルスを語るときに、よく引き合いに出されるSARS(重症急性呼吸器症候群)の影響を元に影響を予想してみます。
SARSの時はどうだったのか?
SARSによって、当時の沖縄の海外客はほぼ半減しました(下記左グラフ)。しかし、当時の海外客は観光客全体の2%ほどしかなく、残りの国内客が7%も増加していたこともあり影響は皆無だったことが分かります。
ちなみに、沖縄の国内客が増えた背景には、2001年から始まった沖縄ブームに加え、SARSによって海外旅行が国内旅行に振り替わった影響もあると思います。その証拠に、2003年の日本の出国者数は前年26%も激減しており(下記右グラフ)旅行会社の海外旅行部門の業績が悪化しました。余談ですが、2003年の日本への入国者が減っていないことにも驚きました。
あれから17年。2012年からの円安によって、当時10万人ほどだった沖縄の海外客は約300万人となり、観光客全体の約3割を占めるまで増えました(上記左グラフ)。そして中国人の観光客数は台湾に次いで二番目の多さです。
以上から、新型コロナウィルスの沖縄観光への影響がSARSの時と同規模だと仮定すると、現状の各種数字から考えて『年間観光客にして8%〜10%減少』というシミュレーションになります。
これまで、韓国と摩擦が起きようが、首里城が燃えて無くなろうが、全く減らなかった沖縄の観光客ですが、新型コロナウィルスの影響だけは避けられそうにありません。
即効性のある打開策はない
県の旅行業関係者からは「中国客の減少を穴埋めするために新たなマーケットの開拓が必要だ」という声が挙がったらしいですが、それが直ぐに出来ないことは普通に考えれば分かることですし、去年、韓国人観光客が激減したときにも同じことを言ってました。
そして、その時に県の行政や政治家が行なった、ポーズだけで実効性の乏しい対策(税金を使って、いろんな人たちが次々と韓国詣をした)が思い出された時点で今回も期待薄なことは明白です。
こうした突発的な事象に対しては、即効性のある打開策は存在しません。衝撃に備えつつ、目先の出来事に必要以上に右往左往せず、マーケティング戦略に基づいて具体的かつ継続的な戦術を実施する観光地ブランディング施策以外に手はないのです。
築山 大
琉球経営コンサルティング