こんにちは。築山です。
今日は、クライアントからの相談を受けていて考えたことや、昨今のニュース等を見て感じたことがあったのでまとめてみたいと思います。
後継者不在に悩む会社社長の後悔
築山は、経営コンサルタントとして独立する準備期間に、アドヴァイスをいただくために沖縄のいろいろな経営者の方にお会いしましたが、逆に相談を受けたのが「後継者不在」で、かなりの数の方々が悩んでらっしゃることが分かりました。弊社の提供サービスの一つに『幹部社員&事業継承者育成』を入れたのはそういった背景があります。実際に、日本の企業の約7割が後継者不在というデータもあります。
こういった経営者の方々が口を揃えておっしゃってたのが「もっと早くから後継者を育成しておくべきだった…」という後悔。逆に「なぜ、遅れたと思うのですか?」と聞くと「経験が浅いからやらせるのが心配だった」とおっしゃるのです。
経験不足を理由に経験させないという矛盾
ご自身が創業者である会社であれば、それまでのご苦労を考えると当然湧き上がる不安であることは重々承知しています。でも、考えてみれば誰もが最初は経験不足の状態からスタートします。現場オペレーションや管理業務であれば、マニュアル作成などで業務の要件定義を可視化すればある程度は対応可能ですが、経営やマネジメントという職種はそうはいきません。ビジネス書を読ませたり、セミナーや講習を受講させるだけでも不十分です。実際に経験をさせることが上達する一番の近道です。なぜなら、経営やマネジメントの本質は『答えの分からないことを決断する』ことだからです。
見るべきは「経験の長さ」ではなく「資質の有無」
築山が始めて役職者として本格的なマネジメントに携わったのは入社5年目でした。組織内で新規プロジェクトが始まったこともあり、成果を出すことだけにとらわれ、部下への配慮もおざなりで、逆に気を遣わせる始末。自分自身のことで手一杯になり、上司や先輩にアドヴァイスを貰う余裕すら作れず、惨憺たる1年を過ごした後に先輩社員と入れ替わりました。いわゆる「アクティヴ・ノンアクション」の典型例みたいな人間でした。
今考えてみると、経験やスキルの問題以前に「進むべき方向性を示し、部下を把握し、彼等を支援しながら目標達成をする」というマネジメントに必要な資質を全く備えていなかったことが失敗の大きな原因だと思っています。
その後も、マネジメント職は何度もやらせて貰いましたが、成果とプロセスの両面である程度の手応えを掴んだと思えたのはそれから10年後でした。
ベテランの重要な仕事とは?
その時期のことを思い返してみて一番のポイントは「部下の成長度合いが、そのまま成果の達成率とリンクした」ということです。言い換えれば、築山のマネジメントスタイルが「管理」から「支援」に大きく変わったことです。
あの惨憺たる1年を思い返せば、部下が何に悩み、不安を抱えているかがよく分かります。彼等を観察し、得手不得手やキャラを把握する、予めアドヴァイスをしておいたり、一緒に考えることで彼等が自走出来るように手伝い、ガンガンやらせて空いた時間で、築山自身は彼らに出来ない仕事をする…そのサイクルを習得できました。
経験不足だから経験させないのではなく、経験不足をフォローすることがベテランの重要な仕事の一つだと理解したのだと思います。部下や顧客から「今まで会社を辞めようと思っていたけど、築山と働いてもう少し続けてみようと思った」と言われたのもこの時期で、これが築山がコンサルティングの醍醐味を感じた「原体験」となりました。
「教育する」のではなく「並走」する
考えてみると前職時代の殆どの期間、築山は素晴らしい上司に恵まれました。感謝の言葉しかありません。彼等の築山への接し方は「教育」というより「並走」という言葉が適切でした。築山のマネジメントの考え方の殆どは彼等を真似ることで得たものです。そして冒頭に述べた沖縄の会社や経営者を、そうやってお手伝いすることで、今もなお自分自身に磨きをかけている最中です。そんな当時の先輩方の一人が書かれた本は、未だに「教科書」として手元に置いていつでも開けるようにしています。経営者の方も、マネジメント職の方も、興味のある方は是非読んでみてください。