コロナ禍での事業再構築の考え方

こんにちは。築山です。

コロナウィルスの感染拡大が本格化して1年ほどが経ちました。初動でPCR検査と隔離を徹底して封じ込めに成功した台湾やベトナムなどの僅かな国を除いて、日本を含めた多くの国が感染拡大による深刻な被害を受けています。

沖縄県は、GDPで県全体の約30%、労働者の4人に1人と観光関連産業に大きく依存しているため、観光の回復と感染対策との両立を目指しましたが、外からの水際対策も、中からの感染拡大防止策も、どちらも人々の協力を得られずに被害を拡大させ続け、ついに先日、3回目の緊急事態宣言が発動しました。人口10万人あたりで首都圏並みの感染者数となり、2回目が発動された夏場と同レベルの拡大となっています。

1/22時点 データ提供:JX通信社/FASTALERT

昨年夏に算出された年度予測では、沖縄県の観光客数は前年比30%にまで減少し、企業や商店の倒産・事業縮小で3万人以上が職を失い、失業率は1.8ポイント上昇し、経済成長率はマイナス6.3ポイントまで減少となっています。

 

増える起業や事業再構築の相談

こうした状況を受けてか、弊社に頂くコンサルティング依頼も、企業のお客様からは新規ビジネスの、個人のお客様からは独立起業に関するものが多くなりました。

新規ビジネスを始める場合、一般的には、現業を軸にして、縦へ伸ばす(川上や川下の市場に進出する)か、横へ伸ばす(親和性の高い市場に進出する)かのいずれかになりますが、みんなが、そのための研究開発をしたり、M&Aをできるわけではありません。今回は、資金力や規模が小さくても出来る新規ビジネスについて述べてみたいと思います。

 

自分のいる市場を俯瞰して見る

コンサルティングする前には、必ずクライアントのいる市場分析をやります。分かりやすくするためにざっくり説明します。例えば焼鳥市場において、最も市場規模が大きいのは、焼鳥を焼く人(店)ですが、働いて得る売上と利益とをみた場合、利益効率はそれほど高いと言えません。常に原価計算しなければならず、設備や機材の維持費や家賃、人件費を払ったあとの手残りは売上の1割あれば上出来でしょうか?

焼鳥を焼く人(店)より儲かるのが、焼鳥の焼き方を教える人です。勿論、教えを請われるレベルの技術や知名度を持っていることが前提ですが、このポジションでは、出ていく経費も店を運営していたときよりずっと少ないと思います。料理教室を開いたりするのはこのポジションの人です。

さらに儲かるのが、焼鳥の売り方を教える人です。焼鳥の焼き方だけでなく、どこにどんな焼鳥店を作れば繁盛するのかが分かり、事業としてやる人、もしくは教えられる人です。一番大きく儲けるならこのポジションですが、求められる能力は、料理人ではなく経営者のそれであり、焼鳥を焼いたり、お客様と会話をする楽しみは諦めた方がよいでしょうね。

 

ノウハウを可視化して売る

上述は、事業を利益効率で考えた場合のポジショニングであり、事業の価値やその上下を論じているものではありません。むしろ、利益効率を上げるためには、各事業ポジションでの成功が必須であり、そこで培われた技術やノウハウが優劣を分けることが理解いただけると思います。

ここで述べる新規ビジネスのポイントは、『ノウハウを可視化して売る』ことです。資金力や規模が小さくても、自分の持つ技術や知識を言語化、図式化、映像化して多くの人に伝え、再現化してもらうことで稼ぐのです。

例えば、弊社のクライアントである、沖縄No.1の飲食イベント『OKINAWA FOOD FLEA』を主宰する石井雄一郎さんには、沖縄だけでなく全国の、街づくりや集客イベントを行う民間や行政担当者からのインタビューや面談依頼が増えてきたため、イベントの企画から運営〜成功のポイントをブログにまとめることをアドヴァイスし、ノウハウのマネタイズ化に成功し、企画の営業活動にも役立てています。

また、コロナ禍の外出自粛や、飲食店等の営業時間短縮によって、家で過ごす時間ややることが増えてました。今まで外で済ませていたこと(アウトソーシングしていたこと)を自分たちで行う場合、プロフェッショナルの技術やノウハウは知りたいところですよね。実際、料理系アプリの需要は上昇しています

 

マーケティングの原理原則も忘れずに

勿論、単に可視化すれば売れるわけではなく、そのノウハウに付加価値が必要です。繰り返しになりますが、各事業ポジションでの成功は必須であり、それを裏付ける客観的指標なども必要になってくるでしょう。

例えば、他店に先駆けてテイクアウトをやっていた飲食店が、コロナ禍の当初は儲かっていたのが、ほとんどの店がテイクアウトを始めてしまうと、やはりリアル店の評価がそのままテイクアウト市場のポジショニングを席巻してしまいました。

事業計画を考えるには、他社が簡単に真似できない独自性や突出性を持った付加価値を、マーケティングの原理原則に基づいて考えることが大切です。そのあたりは、弊社の創業計画書を公開した下記ブログがお役に立てると思います。

また、言語化や可視化を考えるには、人の知覚や認識の構造を把握した上での効果的な伝え方(プレゼン手法)をまとめた下記サイトがお役に立てるでしょう。


 

築山 大
琉球経営コンサルティング


 

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