御社のビジネスに『物語』はありますか?

こんにちは。築山です。

今月から、新しいクライアントへのコンサルティングが始まり、マーケティングや事業戦略の立案のお手伝いに必要な調査をしたり本を読んでいく中で『物語』というテーマが頭の中を占めるようになりました。

我々は自らの処理能力を超えた情報の洪水の真っ只中を漂っている

このグラフは、2001年から2009年までの日本の情報流通量(受け手が受信した情報量)と、消費量(受け手が認知した情報量)の推移と、情報消費の経路別の推移です。
過去9年間で、情報の流通量は約2倍に増えたにも関わらず、その消費量は約1割程度しか増えていません。この情報流通量と消費量の格差のグラフは「我々は自らの処理能力を超えた情報の洪水の真っ只中を漂っている」ことを端的に表しています。
余談ですが、初代iPhoneの発売とFacebookやtwitterのサービスインが2008年、LINEは2011年ですから、このグラフはSNS利用が本格的になる直前のものであり、現在の情報流通量を考えるとグラフには到底収まりきらない程に増えていると思われます。その証拠にどこを探しても2010年以降のデータは見つかりませんでした(笑)。

一説によると、人間の情報処理能力は瞬時に7ビットで、一組のビットを他の組から区別する最短時間は18分の1秒程度とされています。つまり、1秒間で126ビット、1分間で7,560ビット、1時間で453,600ビットの情報処理能力を有していることになります。一方で、
人は相手が何を話しているかを理解するのに毎秒40ビットの情報処理能力が必要とされており、上記の計算を当てはめると、人間は同時に3人の話を聞くことが出来ることが「理論上は」可能なハズなんです。でも現実は、自分の目の前の一人が何を話ているかを本当に理解することで精一杯な状態が殆どです(少なくとも築山はそうです)。聖徳太子の凄さが分かりますね(笑)。
人は、いろんなことを考えたり、迷ったりしがらその瞬間を生きています。機械のように情報を処理することは出来ない。それが、この情報流通量と消費量の格差の原因なんだと思います。
(参考文献:ミハイ・チクセントミハイ著『フロー体験 喜びの現象学』世界思想社)

 

人は感動する生き物である

情報それ自体は、受け手の必要性や理解力がなければ意味を成しません。ある人にとっては重要でも、他の人にとっては重要でない情報はたくさんあります。すべては受け手が判断するものです(それが正しかろうが、間違っていようが…)。
受け手は、その判断をどのようにして行っているのか?
我々の実体験に即して考えるならば「感情の動き(=感動)と密接に繋がっている」ことは間違いないと思います。一夜漬けの知識(=情報)がテスト終了と同時に忘れ去られてしまうのと正反対ですね。
喜怒哀楽を問わず、人間は感動する生き物です。そして、感動を伴ってインプットされた情報は、価値観や行動に取り込まれたり、他の類似情報と組み合わされて『物語』を形成します。

 

そして、人はみんな『物語』を欲している…

考えてみれば、人間は小さな頃から『物語』を通じて様々な情報を取り込んでいます。人ひとりの経験など僅かなものです。我々が、小説や漫画、映画を好むのも『物語』を疑似体験して足りない経験を補っているのかもしれません。人はみんな『物語』を欲しているのだと思います。そういえば「世の中で最も売れている本」と言われる「聖書」も物語の形式ですね。
そして、自らの処理能力を超えた情報の洪水の真っ只中にあり、世の中や生活がめまぐるしく変わる現代のビジネスにおいても、表層的で移り変わりの激しい情報(トレンド)以上に、人間の根底部分に訴えかけるような『物語』は重要度を増していると思うのです。ここで言う『物語』とは、フィクションではなく、自分にグッとくることや「そうだよねぇ」と共感できるリアリティみたいなもの、言い換えると、コンテクスト(文脈)のような広い意味です。

 

御社のビジネスに『物語』はありますか?

世の中で、ブランドと呼ばれる会社や商品には必ず『物語』があり、男性の多くはこの『物語』(この場合は「ウンチク」と言った方が適切か?)にヤられています。例えば、オメガのスピードマスターという腕時計の『物語』は「月面着陸した時計」であり、自分が月に行くことは無いのに買ってしまう(笑)、また、Gショックは「落としても絶対に壊れない時計」というたった一行の企画書から始まり、仕事で時間を知る必要のある工事現場で働く人々が気軽に身につける時計をイメージして作ったら、スケードボードをやるストリートのキッズ達からも熱烈な支持を受けた…という『物語』があります。もしかしたら、NHKの『プロジェクトX』が好きな人達も『物語』を欲しているからなのかもしれませんね。

多くの会社には、例えば、創業時のエピソードや、商品・サービス開発をした理由など、語られるべき『物語』があるはずです。築山の考える事業戦略とは、その『物語』を、それを理解してくれる顧客に分かりやすく伝える仕組みを作ることだと思っています。そして、築山の考える経営コンサルティングとは、顧客だけでなく、そこで働く人たちもグッとくるような『物語』を皆で実現していくためのお手伝いだと思っています。


語るべき『物語』のある方々からの、ご相談をお待ちしています。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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