ブランドとは「あり方の表明」である 〜琉球経営コンサルティングのブランド論〜

こんにちは。築山です。

最近、ロゴ制作などを含めたブランディングについてのご相談をよく頂戴します。ブランディング…難しい仕事です。なぜなら、あまりにも漠然としていて摑みどころのないものであり、そして何よりも、すぐに成果が出たり、数字で測ることの難しい、不断の努力の先に実現するものだからです。曖昧なものこそ定義をはっきりさせようと思い幾つか調べてみました。

ある財・サービスを、他の同カテゴリーの財やサービスと区別するためのあらゆる概念。当該財サービス(それらに関してのあらゆる情報発信点を含む)と消費者の接触点(タッチポイントまたはコンタクトポイント)で接する当該財サービスのあらゆる角度からの情報と、それらを伝達するメディア特性、消費者の経験、意思思想なども加味され、結果として消費者の中で当該財サービスに対して出来上がるイメージ総体(wikipediaより)

個別の売り手または売り手集団の財やサービスを識別させ、競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ(「マーケティングの父」と称されるフィリップ・コトラーによる定義)

ざっと見てみても、ブランドというものが差別化を目的としていて、それを構成するものは多岐に渡ることが分かりますね。築山なりに定義してみるとこうなります。

「真っ先に思い浮かべてもらう」ためには?

「真っ先に思い浮かべてもらう」ためには、まず、思い浮かべるものが必要です。分かりやすいところから言うと、商品やロゴマークのように「見て分かるもの」はブランド構成要素と呼ばれ、品質、安全性などのように「理解されるもの」はブランド付加価値と呼ばれ、理念や存在意義などのように「信頼し支持されるもの」はブランド・アイデンティティと呼ばれます。この三つの概念が「真っ先に思い浮かぶ」順番は、一般的に 構成要素→付加価値→アイデンティティ ですが、ブランドとしての強さの指標は逆になります。
アイデンティティまで認知した顧客を持つ企業は最強ですよね。価格が高かろうと、他者がどんな商品やサービスを出そうと、必ず自社を選んでもらえるわけですから。そしてさらに重要なのは、そういった最強企業は、この三つの概念が全てブランド・アイデンティティを思い浮かべてもらえるように一貫性を持ちながら互いに補完し合っている、ということです。その意味で、ブランディングとは、経営計画や事業戦略、マーケティングを通じて実現する究極の目標であり、ブランドとはその企業の「あり方の表明」である、と言えます。決して「オシャレなロゴマークやショッピングバッグを作ったらブランドになる…」わけではありません。


重要な「一貫した仕掛けの継続」:ブランドかどうかを決めるのは顧客

どれだけ自社がブランド概念を揃えていても、それらが顧客に「真っ先に思い浮かべてもらう」レベルまで認知されていなければブランディングは実現出来ません。なぜなら、ブランドかどうかを判断するのは顧客であり「自分達の伝えたいことは、自分達が思っているほど顧客には伝わっていない」のが常ですから…。
そのためには「ブランド概念を一貫性を持って顧客に伝え続ける仕掛けを作り、それを継続する」ことが必要です。そうやってブランド・アイデンティティまで認知する顧客を増やす、言い換えれば、顧客との信頼関係を築くのです。
この仕掛けは、その企業のブランド・アイデンティティが普遍的で明確であるほど伝わりやすく、将来の変化にも対応しやすくなります。例えば、レクサスのブランド・アイデンティティは『EXPERIENCE AMAZING 〜上質の体験〜』というものです。ご存じのように自動車業界は「モビリティ革命」(①EVに代表されるパワートレインの多様化、②クルマの知能化・自動化、③カーシェアリング・ライドシェアリングの普及)によって、自動車の概念が「運転する機械」から「移動する何か」に大きく変化していきます。今のレクサスのブランデイングを見ると『上質の体験』というアイデンティティはそのままに、自動車から空間や時間といった移動そのものに顧客価値を変化させています。一見すると意外に思える「クルマを販売しない店」や「クルーザーの開発」は、その文脈で見ると揺るぎない一貫性を感じます。

ブログやSNSは上手く使えばブランディングの有効な武器になる

レクサスのように大掛かりなことを出来なくても、ブランディングは十分に可能です。繰り返しになりますが、ブランドは「あり方の表明」であり、ブランディングは「一貫した仕掛けの継続」です。ブログやSNSは個人レベルでこれを可能にしてくれる有効な武器です。
アクセス数やフォロワー数はある程度の指標にはなりますが、それよりもっと重要なのは「あり方を表明し、顧客と信頼関係を築くに値する情報発信になっているか否か」です。そのためにも、冒頭のブランドとブランディングの定義、その概念について整理をしてみてください。オシャレなロゴマークやショッピングバッグ、話題性のある販促などは、そこが明確になっていれば、後で自ずから出来上がります。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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