DXと人材育成の評価を生産性にするべき理由〜弊社コンサル事例〜

こんにちは。築山です。

弊社がコンサルティングしているクライアント二社が立て続けにメディアで紹介されました。東京・首都圏における沖縄食材業務用卸でシェアNo.1の株式会社香那ホールセール様はDX(デジタル・トランスフォーメーション)導入事例、アスベスト工事用機材・資材販売で沖縄県シェアNo.1の琉球ブリッジ株式会社様は人材育成です。二社に共通しているのは、経営者自らが率先して従業員にその重要性を説き、理解と協力を得ながら行った結果として生産性が上がり業績も好調なことです。

誤解されがちな生産性:投入資源の削減よりも付加価値の増加

生産性 = 付加価値(アウトプット)÷ 投入資源(インプット)で定義されます。従って、生産性を上げるためには「付加価値の増加」と「投入資源の削減」という二つの方法があることになります。

ちなみに、日本では生産性という言葉が製造業における改善運動から普及したため、生産性向上=投入資源の削減(コスト削減)…という誤解がされがちです。しかし、企業ではコスト削減は日常的に意識・実践されているのが普通ですから削減幅には自ずと限界がありますし、過剰な追求によって付加価値を生み出す源泉となる余裕が失われます。つまり、生産性を上げるには、投入資源の削減よりも付加価値の増加の方が重要なのです。

そして、商品やサービスの付加価値の増加には、開発企画部門はもちろん、マーケティングや営業、それを支える間接部門などあらゆる部署が関わってきます。つまり、生産性向上とは組織全体で取り組むべきもの…というのが正しい認識です。

 

DXとはITを導入することではなく生産性を向上させること

弊社が2年以上コンサルティングをしている株式会社香那ホールセール様の宇根社長は、常々「付帯業務(受注・売上管理や集金業務等)を無くして、主体業務(顧客への商品提案や物流構造の最適化等)に集中したい」と仰っていました。付加価値向上に繋がらない付帯業務(投入資源)の削減、付加価値向上に繋がる主体業務への集中、これはまさに上述の生産性向上です。

受発注や請求代行システムなどのIT導入による入力ミスの消滅や業務時間の短縮など付帯業務を圧縮して終わるのではなく、IT化によって入手した販売データで分析を行ったり、空いた時間で顧客(飲食店)への商品提案を考えること等に振り向けたことが重要です。

つまり、DXにおいては、IT導入は単なる手段であり、付加価値の向上まで見通した業務設計とその実行によって生産性を上げることが本質です。それが無いと、付帯業務は圧縮できたけどIT導入のコスト増でプラマイゼロ…なんてことにもなりかねません。

IT化でムダな作業やミスを減らせたおかげで、私たちには時間的な余裕ができました。それらを、お客さまの悩みを聞き取って最適な提案を行うなど、高い付加価値を生み出す仕事へと振り分けられるようになったことが、IT化の最大の効果だったと思います。データ入力などの定型業務に手間と時間をかけても、顧客満足度は一切上がりません…(宇根社長)

 

人材育成とは、ヒトが付加価値を生み出すのを支援すること

公益財団法人沖縄県産業振興公社の人材育成事業を通じて、弊社がお手伝いした琉球ブリッジ株式会社の谷中田社長は、数年かけて従業員の労働環境改善や資格取得支援を行なってきました、弊社はその仕上げとして、従業員による新規事業計画の立案と実行を通じた人材育成コンサルティングを行いました。

労働環境改善や資格取得などスキルアップによって従業員が業務効率を上げるのは投資資源の削減に繋がります。そこで終わらずに、そこで得た物理的・時間的な余裕を新規事業の立ち上げという付加価値の増加に振り向けたことで生産性が向上しました。

付加価値を生み出すのは人間のアイディアです。カネは有限です、モノも経年劣化します、ヒトだけが成長して付加価値を生み出し続けることが出来ます。人材育成とは、ヒトが付加価値を生み出すのを支援することであり、当事者だけでなく組織全体で行うものです。


そして、ヒトの成長は知識や技術の伝達(分かる:講義)だけでなく、それによって思考や行動が変容し成果を出すこと(出来る:実践)によってはじめて実現します。もし、人材育成カリキュラムの効果が薄いと感じたのであれば、おそらくそれが前者に主眼が置かれているからだと思います。その意味で、人材育成の評価は、講義終了時点の受講者の瞬間最大風速的な満足度を切り取ったものではなく、その後の生産性で測られるべきでしょう。

コンサルティング終了後、従業員の見ている「景色」が変わったように思います。やみくもに営業したり、単なる顧客の御用聞きになるのではなく、相手のことを考えながら自分たちが考えた新規事業を展開するようになりましたし、社内会議も自分からの一方的な情報伝達ではなく双方向での議論がされるようになりました…(谷中田社長)

 

こうして考えると、DXや人材育成の評価を生産性にすべき理由を理解して頂けたかと思います。限られたリソースを使って事業を行わなければならない中小企業こそ、流行り言葉や表層的なものに惑わされず、生産性の向上につながるコンサルティングを受けて欲しいと願っています。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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