アジアのダイナミズムに取り残されないために

こんにちは。築山です。

毎年聴講している、沖縄県海外事務所・委託駐在員市場別セミナーに参加しました。ご存知のように、沖縄は日本の本土と東アジア諸国との中間に位置しており、日本よりも近い東アジアの主要都市が数多くあります。

このセミナーは、こうした都市で活動している県の事務所員や駐在員から、現地の状況を聞くことの出来る貴重な機会です。今年はコロナウィルス感染拡大のためにオンラインでの開催で「ニューノーマル時代を生き抜く、海外ビジネスを考える」がテーマでした。

 

東アジア諸国の感染対策と経済影響

東アジア各国の話を聞いて改めて理解したのは、コロナ禍によって影響を受けたビジネス、好調なビジネス、消費における人々のマインドや購買行動の変化は、どこの国でも同じで、違いがあるとすれば、それはビジネスの種類ではなく、感染封じ込めと経済回復のスピードでした。

感染封じ込めに成功した中国の人口10万人あたり累計感染者数は日本の14分の1、台湾では35分の1、ベトナムでは68分の1です。

2020年第2四半期のGDP成長率は中国が3.2%、ベトナムは0.4%とプラス成長を守っており、台湾もマイナス成長とはいえ-0.6%、初動で出遅れた韓国も、その後に上述の国々と同様に検査と隔離を徹底して拡大を抑え込み、GDP成長率を-3.3%に留めています。

こうした国々の数字を見れば、感染拡大を抑え込めなかった日本や香港、シンガポールの「周回遅れ感」は明らかです。

加えて、GDPのポートフォリオも問題です。例えば、観光収入が世界第3位のタイでさえ、GDPに占める割合は2割で、他の産業が頑張ることでダメージを抑制していますが、沖縄は約3割を観光業に依存しており、就労人口の4人に1人は観光関連産業に従事しており、これが傷の深さと回復の遅れの懸念材料となっています。

 

経済回復のスピードは勢力図も塗り替える

コロナ禍においては、経済回復を早めることで、回復が遅れている国々のシェアを丸ごと奪い、平時の経済活動では実現することは難しい勢力図を一瞬にして塗り替えることも可能です。

逆から見れば(例えが悪いことは承知ですが)生き埋めになった人間の生存率が時間の経過と共に急激に下がるように、感染拡大が長引くほど経済回復の可能性と回復幅は小さくなっていくことが十分に予想されます。

沖縄県知事は、2年前の就任時に「アジアのダイナミズムを取り込む」という公約を掲げましたが、この状況下では、残念ながら「アジアのダイナミズムに取り残されないために頑張る」と下方修正した方が良さそうです。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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