こんにちは。築山です。
毎朝、沖縄の地元新聞の記事を読んでいますが、かなりの頻度で「アルコール」にまつわる記事を目にします。
沖縄に移住して始めて知った『路上寝』問題。
県警のキャリア署長も退任の挨拶で、あえて「苦言」を呈しています。
飲酒は生活習慣病の温床。男性の4割が危険水準。
県も取り組んでいます。
県の保健衛生統括監曰く「沖縄はお酒に寛容な風潮…」だそうですが、こうした現状を見る限り、沖縄のアルコールにまつわる問題は、そんなレベルは軽く通り越して、県民の健康や経済に深刻な影響を与えるだけでなく、様々な社会問題の温床となっていると思います。
本当の問題は「寛容な風潮」ではなく、酒税法の軽減措置
成人男性の91%、女性の77%に飲酒癖があり、さらにその男性の4割が「危険な飲酒癖」と分類される状態は、もはや「寛容な風潮」だけでは説明がつきません。もっと根本的な理由は、沖縄県だけに適用され続けてきた酒税法の軽減措置によって、内地よりもかなり安価にアルコールを摂取出来る環境があることです。
これは、①一般消費者の酒税負担軽減、②県内の酒類製造業、関連産業(観光業・飲食業)の育成・保護、を目的としており、泡盛は▲35%、ビールが▲20%軽減され、沖縄の本土復帰以降ずっと適用&延長され続けてきた措置です。
沖縄の飲酒と社会問題の関係
これだけ安価に飲酒が出来る環境が45年以上も続けば問題が表面化するのは当然です。もちろん、社会問題というのは複数の要因が複雑に絡み合って発生するものであり、簡単に説明出来るものではありませんが、現在の沖縄が抱えている社会問題の多くは、アルコールが直接又は間接的な原因になっていたり、そのトリガーとなっているということは、各種機関が発表している数字から分析しても間違いないと思います。
もし「本当に改善したい」と思うのであれば、やることは一つ…
飲酒運転でさえ、警察が取締まりを強化しても27年連続全国ワーストを改善出来なかったのですから、いまさら税金を投入して行政や医療機関による「ガイドライン」を策定し「啓蒙」によって「個人の努力や判断」に依存するのは無理でしょう。沖縄の飲酒問題は、もはや社会問題であり、個人の力だけで解決することは不可能です。やることは一つ。酒税法の軽減措置を撤廃し、必要以上にアルコールを摂取し難い環境を作るしかありません。
上述の軽減措置の目的①に関しては「県民の酒税負担軽減」と「それによって発生する健康問題や社会問題で発生するコスト」を比較考慮すれば答えは自ずと分かります。タバコと同じように考えれば良いと思います。
また②に関しても、泡盛業界自体に(軽減措置によって必死に保護してきたにも関わらず)市場変化による需要減と「後継者不在による廃業」が発生した今、同じ税金(補助金)を今後成長するであろう沖縄経済の成長分野に振り向けるべきでしょう。
言い換えれば「県民の健康と社会問題の解決」を優先させるか?「特定人や特定企業の保護」を優先させるか?の問題ですね。ちなみに「両者を救済する」という判断は、結果的に両者を損なってしまうことは現状が証明しています。減免措置の期間が切れる来年の5月までに県がどういった判断と行動をとるのか注目したいと思います。
酒の一杯は健康のため。二杯は快楽のため。
三杯は放縦のため。四杯は狂気のためアナカルシス(古代ギリシアの哲学者)
酒はハッピーな時に飲もう
不幸だからという理由で飲んでは決してならないチェスタトン(イギリス人小説家)
築山 大
琉球経営コンサルティング