コロナ禍の沖縄観光客が分かる7つのデータ

6. リゾートホテルで長期滞在

宿泊場所ではリゾートホテルの割合が増え、宿泊日数では2泊以下の短期滞在が減り、5泊以上の長期滞在が増えています(従前の沖縄観光客の平均宿泊は約3.7日)。上限はあるものの、宿泊費用の半額が補填されるGotoキャンペーンを使って、高価格帯のホテルを利用したり、従来よりも長期滞在をしたことがよく分かる数字です。


 

7. 出歩かずに、宿でお篭り

消費項目を見ると、飲食費や買物費、域内交通費の割合が減って宿泊費が増えています。沖縄県独自の緊急事態宣言などにより観光施設や飲食店が休業していたという事情もあるとは思いますが、旅行予算を高価格帯のホテルや長期滞在に使い、他の費用を削った旅行であることが分かります。

ちなみに「1人あたり消費額は過去最高の99,956円」という数字と「比較的所得の高い客層を取り込めた効果」という県の発表には、築山は、以下の理由から違和感を持っています。

①確かに高所得者の比率は増えているもの、これは沖縄観光客の高齢化と若年層の減少を背景としたコロナ禍以前からずっと続く傾向であること、②(高所得者比率の増加は)コロナ禍によって世帯収入の低い(年金暮らしの)60代以上の観光客が激減したことによる相対的なものであること、③前回のブログで書いたように、そもそも1人あたり消費額の算出方法に疑問が残ること、それが観光庁が発表している数字(観光客数・消費額共に減少)と真逆の結果であること…の3つです。従って、実際の消費額は7万円程度(Gotoキャンペーン補填分を考慮すればもっと少ない)と予測しています。

 

まとめ:今後のリゾート観光業を考える

以上のようなコロナ禍での沖縄観光客の行動や消費傾向から、今後の観光コンテンツを考える上でのヒントがいくつか考えられます。

まず、保養・養生・健康という付加価値が重要になるのは間違いないでしょう。スパやヨガといった馴染みのアクティヴィティに留まらず、沖縄という地域性に鑑みても、かつての沖縄の人々の健康や長寿を支えた琉球料理や、人々の繋がりでもたらされた文化学習など、いわゆる「ウェルネス・ツーリズム」というものです。

また、これまでに10回、20回と訪れている沖縄エキスパートや長期滞在者が増えていることは、従来の観光ではなく「短期移住」「二拠点生活」の視点で観光コンテンツを組み立て直すことも重要になってきます。ワーケーション需要もこの範疇に入ると思います。詳しい顧客分析をしたものがあるので、ご興味のある方は読んでみてください。

これからのリゾート観光業は「ライフスタイル・モニタリング / サンプリング体験業」的なものになり、旅行者にとって「理想とするライフスタイルがそこにあるかどうか?」が重要な顧客価値になるでしょう。そして、それを生み出すのは、ステレオタイプな「沖縄らしさ」で埋め尽くされたテーマパーク的な観光コンテンツではなく、そこに住む人たちのQOLになると考えています。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

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