こんにちは。築山です。
弊社クライアント 株式会社香那ホールセール様 の関係会社であるユタシカル株式会社様が運営する沖縄工芸品のECサイト「Good Stock Okinawa」の公式インスタグラムのフォロワー数が3万人を超えました。この数は沖縄工芸品販売のアカウントでは全国1位であり、沖縄の主要企業や観光施設のアカウントを比較しても上位に位置しています。具体的には、「ブルーシール・アイスクリーム」や「ハレクラニ沖縄」と同規模。これより上は「A&W」「オリオンビール」「美ら海水族館」「はいむるぶし」くらいしかないはずです(2023年10月時点)。
本当にすごいのは、これが実質社員一人の会社が、他の仕事をやりながら達成した数字だということです。つまり、ポイントを理解し実践すれば、一人でも大企業に勝てるアカウントを育てることができるということです。8月に行った会社代表兼担当者と行ったセミナーで話したことを4つほど記しておきます。
コンセプトは入念に考え抜く
アカウントを立ち上げる時には、競合や同カテゴリのアカウントをしっかり見たうえで、コンセプトと誰に何をどうやって届けるのかを明確にする必要があります。これは、企業が市場環境分析をした上で経営戦略や事業戦略へと落とし込んでいくのと同じです。
インスタグラムは、ひときわパーソナル感覚の強いアプリケーションなので企業色が強過ぎるアカウントは距離を置かれます。写真のトーンやテキストの文体など、これらは全てコンセプトによって決まります。そして投稿を積み重ねていくことで、フォロワーはアカウントの印象やキャラクターを形作っていきます。これは、ブランディングの構図と同じです。
時間がかかっても、コンセプトは入念に考え抜きブレないようにしましょう。ここがブレると全てがブレます。インスタグラムのユーザーはほぼ毎日チェックしますから、フォローしているアカウントのちょっとした変化も感じ取るものです。変化の少ない一本調子なアカウントは飽きられますが、かといってブレまくっているアカウントも見放されてしまいます。
何よりも、自らがブレてしまうと、時間をかけて育てなければならないアカウントに愛着を持てなくなり継続出来ません。そしてこれが、インスタグラムをうまく活用できていない企業によく見られる原因の一つです。
見せかたやフォロワーの増やしかた
繰り返しになりますが、写真のトーンやテキストの文体など、これらは全てコンセプトによって決まります。例えば「Good Stock Okinawa」の場合は、販売する商材の多くは陶器やガラスの食器ですから、美しさだけでなく日常での使い勝手も重要です。商品を手に持つ写真の構図は、数字表記よりも実際のサイズ感が想像できるため、陰影あるライティングは、手や口に触れたときの質感をイメージしやすくするためだそうです。こうした細やかな配慮は、食器好きで集めてらっしゃる方々なら共感していただけると思います。
フォロワーの増やし方については様々な方法がありますが、ハッシュタグの使い方は重要なポイントの一つです。ご存知のようにハッシュタグは、件数が多いワードを使うと埋もれてしまいますし、だからといってマイナーなワードを使うと誰の目にも触れません。マーケティング・プロセスのセグメントと同じですね。大切なのは、ターゲットの顧客層がよく使うワードやハッシュタグを参考に、自分なりのハッシュタグを決めて育てること。上手くいくと、そのハッシュタグから自社アカウントへの流入数が増えます、セミナーでは「サテライト・アカウントを作る感覚」と表現されていました。
フォロワー数が、当初目標としていた競合アカウントに追いつきカテゴリでNo.1になると、今までは取引をお願いしていた状況から一転して、窯元や製造元から商品取扱いの依頼やコラボレーションの話が来るようになったそうです。これは、弊社サイトがGoogle検索でNo.1になって、コンサルティングの依頼数やクライアントの規模が変わったのと同じです。ランチェスターの法則でも示されているように、シェアNo.1になるとビジネスの風景は大きく変わります。
継続させるためのコツ
アカウントが一定のフォロワー数になるには時間がかかります。アルゴリズムの頻繁な変更によってフォロワー数が思うように伸びないときもあり、心が折れそうになったこともあるそうです。続けるためには、気合いや根性ではなく「仕組みと習慣」で乗り切る。例えば、目標とする競合アカウントを設定し、ガチガチに管理するのではなく毎日眺めることによる「閾値」を持つこと。分かりやすく言うと、PDCAは「しつこくあっさり」ではなく「あっさりしつこく」が長続きのコツだそうです。
「中小企業こそSNSを活用すべき」は本当だった
こうして実際に成果を出している企業の話を聞くと「中小企業こそSNSを活用すべき」という言葉は、アプリケーション各社やSNSコンサル屋のポジショントークではなく、本当にそうであることが腹落ちします。
一定のフォロワー数獲得までに時間のかかるSNSアカウントの運用業務は、効率的な業務や短期間での成果が求められがちな大企業では難しいでしょう。フォロワーとの信頼関係を構築しながら個性あるアカウントを育てる仕事は複数の社員でやるような性質ではありませんし、異動も多い大企業では難しいでしょう。そもそも、一人の従業員に大きな会社の看板を任せっきりにするのも無理がありますし、評価だって難しいでしょう(もしフォロワーを数万人に育てたアカウント運営者がいたら、その人に同世代の社員と比べていくら払うのか?)。だからこそ、中小企業の担当者がマーケティング原理原則に沿って、じっくり腰を据えて取り組むことで大企業のアカウントに勝てるのです。
セミナーでは、上記以外にもポイントが沢山出てきました。参加者の満足度も高く、個別のSNSコンサルティングも始まっています。ご興味ある方は弊社までお問い合わせください。
築山 大
琉球経営コンサルティング