コロナ危機が沖縄の雇用情勢に与えた影響

こんにちは。築山です。

コロナウィルスの感染症が日本で深刻化してから約8ヶ月が経過しました。感染拡大と一時収束の繰り返しによる経済的なダメージは、日本や沖縄にボディブローのように効いています。その影響は雇用情勢にも及びはじめました。

 

慢性的な人手不足から一転して…

日本の他の地方と同じく、沖縄も慢性的な人手不足に悩まされ、増収にも関わらず人件費の上昇によって減益する企業もありましたが、それがコロナ危機によって状況が様変わりしました。

まず、有効求人倍率からですが、復帰後初めて1.0を超えた2016年からずっと上昇を続けていた有効求人倍率は、コロナ危機の始まった2020年の1月から下降を始め、6月時点で0.68とピーク時から44%減、全国最下位の有効求人倍率に転落しました。

次に、企業の雇用人員の過不足を表す数値となる雇用人員判断D.I.ですが、人手不足はずっと深刻化していましたが、コロナ危機の始まった2020年1月以降、一転してその勢いは弱まりました。

 

業種によって明暗の別れた雇用情勢と、それが意味するもの

雇用人員判断D.I.を業種別に見ると現時点での明暗がはっきり分かります。最も大きな影響を受けたのが宿泊飲食業と小売業です。あれほど人手不足に悩まされていましたが一転して人員余剰になっています。実際、観光客で賑わっていた沖縄DFSは希望退職を募り従業員数を半数に縮小しました。


飲食業をはじめ小売業などが影響を受けるので、そこへ食材や商品を供給する卸売業にも連鎖し、人員余剰に転じました。逆に、現時点の影響が小さいのが製造業と建設業、いわゆる第二次産業です。

この状況は、築山が4ヶ月前のブログに書いた予測を証明しています。つまり、リーマンショックの経済影響が「川上から川下」だったのに対して、コロナショックのそれは「川下から川上」である…ということです。


Go to キャンペーン実施と、その後の沖縄の感染拡大からも分かるように、政府と沖縄県の一部関係者が求めた『経済と医療』は「両立」ではなく「トレードオフ」であることが明らかになりました。感染拡大と活動自粛の繰り返しは、確実に企業の力と経済活動の基盤を削ります。雇用情勢に関しても、既存社員の希望退職だけでなく、新卒採用を見送る企業も出ています。

2021年の大卒求人倍率予測は1.53倍。この数字は、リーマンショック直後に急降下した求人倍率1.62倍を下回っており、1990年代の就職氷河期の求人倍率の低さに近い数字です。この時代に社会人になった、いわゆるロスジェネ世代が抱える非正規雇用率の高さや、所得や老後に関する社会問題を考えると、コロナ危機による新卒採用の縮小によって、こういった状況が繰り返されることだけは避けたいものです。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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