観光客の平準化:沖縄観光事業の再構築

こんにちは。築山です。

沖縄県の観光業は、コロナ禍によって大きな打撃を受けています。県は「感染対策と観光の回復の両立」を掲げましたが、感染拡大と緊急事態宣言による活動自粛を複数回繰り返しただけで、結果的には、多くの事業者と県民の経済力が削られました。現時点では、Gotoキャンペーンの再開時期も含めて観光業の見通しは不透明です。

 

コロナ禍による沖縄観光業への打撃:観光客63%減と全国ワーストの失業率

2020年の沖縄県の観光客数は約374万人で、1,000万人を突破し過去最高を記録した前年から急転直下、63%も減少しました。県民総生産の30%弱、労働者の25%が観光関連産業に関係している沖縄経済へのダメージは大きく、2021年1月の失業率は3.6%で全国ワースト、コロナ禍前(2019年平均)からの増加率は全国平均より約1割高くなっています。

 

未だに半数の県内企業が自社事業に対策の意向を持っていない…

感染拡大から1年が経過し、大きな経済的打撃を受けているにも関わらず、県内企業の半数がリモートワークを実施したことがなく、今後の事業再構築などに関して何も考えていない、という調査結果には驚きました。


沖縄県は、ケアリング産業の比率が高く、リモートワークが馴染まない企業も多いので、前者は理解できるとしても、後者には不安しかありません。事業継続の意欲を失っている経営者も増えています。こうした経営者の元で働く従業員は、早く転職した方が良いでしょう。昨年の県内企業の休廃業・解散件数は過去20年間で最多となリました。

 

稼げる観光業になるための事業再構築:ポイントの一つは観光客の平準化

ポストコロナ時代の「稼げる観光業」になるために、今から事業の再構築を始めましょう。経済産業省が提供する事業再構築補助金を活用するのも手です。

稼げる観光業とは、売上もさることながら利益率が高く、それで得た利益を新たな付加価値創出や従業員報酬に還元し、自立して地域の経済サイクルを回せる産業のことです。ご存知のように、従来の沖縄観光業は、観光客数こそハワイ並みでありながら観光収入は1/3しかない生産性の低い産業でした今回は、この状況を改善し得る『観光客の平準化』について考えてみます。

下図は、沖縄とハワイの観光客の月別指数です。これを見ると、沖縄はハワイと比べて、観光客数の繁閑差が大きく、夏季に一点集中していることが分かります。

繁閑差が大きいと、非正規雇用による人員の季節調整が増えます。彼等に正規雇用と同等の業務内容や責任を負わせることはできないので(やるべきではありません)、非正規雇用が増えることで提供サービスの質に上限ができます。提供サービスの質の上限ができると客単価が上がらず、売上増が難しくなります。結果的に、非正規雇用を増やすほど労働生産性は低下します

観光客の繁閑差を小さくする=平準化を行うことが、観光業の労働生産性を高める上で重要である理由はこういうことです。

 

観光客の平準化のために必要なこと

沖縄の観光客の繁閑差を小さくするには「海だけ / 夏だけ」から脱却することであり、海以外の観光コンテンツの付加価値を上げプロモーションをすることです。実際、ハワイの観光客は、ハイキングやエコツアー、ハワイの文化体験などマリンアクティビティ以外の観光コンテンツを楽しむ割合が高くなっています(もう一つの方法論は、日本人がもっと柔軟に休暇を取ることですが、これは全く期待出来ない話なので除外します)。


上述の事業再構築補助金のホームページでは、事業計画の含めるべきポイントの例を列挙していますが、沖縄観光業の事業再構築には、この「観光客の平準化」への寄与というのは重要になってくると思います。

出典:中小企業庁「事業再構築補助金概要書」

 

事業計画書の策定にあたっては、弊社の事業計画書を公開しつつ具体的に説明した記事が参考になると思います。

 

築山 大
琉球経営コンサルティング

 

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